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いい音で音源を楽しむための基本を解説 PCオーディオ入門 第1回

野村ケンジが教えるPCオーディオの基本

オーディオを「いい音」で楽しむ3大チェックポイント

2012年10月01日 20時00分更新

文● MacPeople編集部、講師●野村ケンジ、生徒●佐武宇綺、写真● 今井宏昭

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いい音がわかる
3大チェックポイントとは!?

 音がいいとはどういうことなのか? その判断基準として、僕は3つのチェックポイントを用意しています。まずはそれを紹介していきましょう。

①解像度
 表現の細やかさを表す言葉。「解像度が高い=音をより細かく表現できている」となります。解像度が高いほど、細かい楽器の音などを拾うことができ、音がよりリアルに聴こえます。

②ダイナミックレンジ
 音量(ボリューム)の大小の幅を表す言葉。「ダイナミックレンジが広い=音の大小がより幅広くなる」となります。幅が広いほどダイナミックな表現になり、同時に抑揚表現の階調も細やかになるので、音にさらなるリアリティーが生まれます。

③トランジェント
 過渡応答特性とも呼ばれる、時間軸的に正確な音再現ができているかどうかを表す指標。スピーカーは振動して音を出すため、振動のしはじめにタイムラグがあり、振動後に余波が残ります。そうしたズレを最小限に抑えることで、よりピュアな、原音に近い再生環境となるわけです。「トランジェントが良い=原音に近い」となり、良いものほどキレのある、そして濁りやボケのない音になります。

本当のいい音とは
リスナーが「リアル」を感じる音

 いま挙げたような「いい音がわかる3大チェックポイント」は重要ですが、それはあくまでも基礎的なもの。フィギュアスケートでいえば、ショートプログラムのようなものです。その表現だけでは、その人の実力のすべてはわかりません。フリーの演技こそが見せ場であり、同様に、オーディオにとっても大切なものがあります。

 それは、「リアリティ-」です。

 オーディオは、音という疎密波をマイクで電気信号に変え、それをスピーカーで疎密波に変えることで「再生」が行われています。これは、食べ物でいえばフリーズドライに近いもので、もともとの音がすべて再現できているわけではありません。

 いっぽうで、人間は音を耳だけでなく全身で感じています。ライブなどに行けばわかりますが、バスドラムの音で心臓のあたりがドキドキしたり、地面から震動を感じたりします。また、耳に聴こえない20kHz以上の音は、体で感じて、それを脳内で音と合成するといったことも行われています。
●オーディオが完璧にはリアルな音を再現できない
●人が耳だけでなく体でも音を感じている
ことから、マイクで拾った音を忠実に再現しただけでは、本当のいい音にはなりません。

 そこで必要になるのが、「リアリティーの演出」です。人間がより「リアル」を感じる積極的な演出こそが、いい音になるかどうかの分かれ目になります。具体的には、会場の振動が伝わってきそうな雰囲気や耳に聴こえない高音も入っていそうな雰囲気──などを感じられることが、大切なファクターとなるのです。

 このためオーディオ機器には、
●原音忠実派──より原音に忠実であることでリアリティーを追求する
●積極的演出派──元と音が変わってもいいからリアリティーを追求する
という2タイプのものが存在しています。そして、どちらもそれぞれに魅力があります。

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普段からヘッドホンを好んで使っている佐武さん。今回用意された、さまざまなタイプのヘッドホンを前に「早く実際に音を聴いて、どう違って聞こえるのか知りたい!」と、やや興奮気味だった

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