イヤホンの世界における
ソニー vs Apple
ところで、もともとこのタイプのイヤホンを開発し、自社製品に付けて売っていたのはソニーである。アップルに限らず、現在のオープンエア型のインナーイヤーイヤホンは、1982年に発売された「NUDE」が原型だ。
そのソニーは2006年に最初のカナル型イヤホン「MDR-EX90SL」を発表して以降、この形式のイヤホンを「NUDE EX」として展開。ウォークマンのオマケのイヤホンも順次、このタイプに置き換わっていった。
カナル型のメリットは、遮音が確保され、騒音にマスクされがちな低域も少ないロスで伝えられること。ゆえに周りがうるさいからといって、オープンエア型のようにボリュームを上げすぎることもない。
カナル型と言っても、ソニーの場合はチューニング用のバックポートが開いているので、実際には音漏れはある。ただ、以前に比べれば、その量はぐっと少なくなった。しかも音質的に優秀という、万事丸く収まる優れたイヤホンだ。しかしアップルはいつまで……。
やっとアップルも新型イヤホン出してくれたよ
これは音漏れ対策もされているのか!?
と、ここ何年に渡って、私は心のなかで呪い続けてきたのだが、ここに来てやっとEarPodsが登場したのである。
アップルはソニーと違ってオーディオメーカーではない。そのせいか音の良さが売りになるとは考えていないようで、広告でも音質を大々的に喧伝するわけでもない。したがってEarPodsも、開発のプライオリティーは音質以外にあったのではないか。
外観をいちべつしてわかるように、ドライバユニットの振動面は直接見えない。音の出口が2方向開いているが、それ以外はハウジングにカバーされている。チューニングポートは背面に1箇所、ステムに2ヵ所開いているが、ごく小さな穴だ。
私は即座に思った。おお、これは音漏れに配慮したデザインに違いないぞ! と。そこで早速、音漏れをチェックしてみようと考え、周囲がiPhone 5の発表で沸き立つ中、EarPodsだけを購入した。Apple Storeで送料無料、税込みで2800円であった。