Windows Server 2012のすべてを知ろう! 第5回
ポイントは[Windows]+[X]キーの活用
RTM登場でUIが確定したWindows Server 2012の賛否
2012年09月21日 09時00分更新
米国太平洋時間9月5日、「Windows Server 2012」がMSDNやTechNetで公開され、一般にも評価版が入手できるようになった(9月4日は米国が祝日なので5日になったらしい)。スケジュールが順調なのは喜ばしいが、個人的には忙しすぎて少々困っている(第3回参照)。Windows Server 2008 R2のときと違って、機能の増加や変更だけでなく、操作性まで変わっているからついて行くのが大変だ。
ログオン画面とデスクトップ
ログオン画面はWindows Server 2008とほとんど変わらない。ドメインに参加している場合、ユーザー名としてAdministratorを指定するとローカルログオンに切り替わってしまうところも変わらない。
ログオンしてからは、賛否両論のある例の画面となる。Windows Server 2012ではモダンスタイル(旧Metro Style)のアプリケーションはほとんどない。このことはよい点でもあり、悪い点でもある。
よい点は、アプリケーションに関しては従来の操作がそのまま使えることだ。デザインは変わっても、操作性は変わらない。
悪い点は、[スタート]キーを押したときの画面にまったく意味がないことだ(画面1)。アプリケーションの起動はMetro Styleの画面から行なうが、スタートメニューとの違いはない。実際[管理ツール]という項目をクリックしてみたら、[コントロールパネル]-[システムとセキュリティ]-[管理ツール]のフォルダーがデスクトップ上で開いただけだった。
シャットダウンも、いちいち[チャーム]を経由する必要がある(画面2)。チャームは、マウスを画面の右上または右下に持っていけば表示されるが少々コツがいる。[Windows]+[C]キーの方が簡単かもしれない。そして[設定]-[電源]-[シャットダウン]と選択する。従来に比べるとかなり煩雑だ。
救いは[Windows]+[X]キーで、主要なアプリケーションがスタートメニューのように表示されることだ(画面3)。この小型メニューはなかなか便利で、Windows Server 2008 R2にも欲しいくらいだ。
下記画面のように、デスクトップに関しては、各種アイコンを表示することで、使い勝手は大きく向上する。
たとえば[コンピュータ]を右クリックして[管理]を選択すると[コンピュータの管理]ツールが起動する。また、[ネットワーク]のプロパティから[ネットワークと共有センター]が表示できる。いずれも従来からの機能だが、[スタート]メニューがなくなったWindows Server 2012では特に便利なショートカットである。ついでに「インターネットエクスプローラー」のショートカットも作っておけばさらに便利だ。
なお、このアイコン表示の機能がコントロールパネルのどこにあるのか、筆者はまだ発見できていない。「デスクトップ」と「アイコン」で検索すると、「ディスプレイ」の項目に表示されるのだが、「ディスプレイ」を開いてもそれらしい設定項目はない。Windows 7でも検索しないと見つからない項目はあったので、いまに始まったことではないのだが。
[Windows]+[X]からコマンドプロンプト
システム管理者はコマンドをよく使う。コマンドプロンプトは[スタート]メニューにもMetro styleの開始画面にもないので、[Windows]+[X]を使うのが一番早い。管理者に昇格して実行する設定も選べるのは便利だ。
もっと便利なのは、Windows Server 2008などと同様、タスクバーにピン留めしてしまうことだろう。デスクトップにショートカットを作ってもよい。
もう1つ、ちょっとしたことだが困るのは、アプリケーション起動時に日本語入力が既定で有効になってしまうことだ。多くのアプリケーションで日本語を使うことが多いのは分かるし、コマンド入力する人が少数派なのは分かるが、ちょっとやり過ぎのように思える。せめてサーバーでは従来通りの動作にして欲しかった。
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次回は、Windows Server管理の中心となる機能として、コマンドプロンプトに取って代わるコマンドラインツール「PowerShell」、大きな変化を遂げているGUI管理ツール「サーバーマネージャー」を見ていこう。
筆者紹介:横山哲也(よこやま てつや)
グローバルナレッジネットワーク株式会社 マイクロソフト認定トレーナ/マイクロソフトMVP。1994年からSEおよびプログラマ向けにWindowsサーバの教育を担当。1996年、グローバルナレッジネットワーク設立とともに同社に移籍。2003年より「マイクロソフトMVP(Directory Services)」、2012年より「マイクロソフトMVP(Virtual Machines)」
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