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T教授の「戦略的衝動買い」 第209回

かんたん接続に惹かれて世界初「NFC対応キーボード」を衝動買い

2012年09月13日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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必要なデータはNFC対応スマホをRFIDカードにかざしてダウンロード
導入すれば後は通信部分にスマホを置くだけ

 では、早速NFC対応キーボードを筆者のNFC機能搭載のGALAXY S IIIで使えるように設定を開始してみよう。まずは、NFC機能搭載のスマートフォンを、設定用RFIDカードにかざす。ほんの一瞬の後、確認音が鳴りスマートフォンの画面上にはブラウザーが開き、ダウンロードすべきソフトウェアの名前やそのダウンロード先URLが表示される。

事前導入ソフトなどのダウンロードサイトにナビゲートしてくれるおまけのRFIDタグを封入したシール

 スマートフォンに導入するソフトウェアは、「ElecomNfcAssistant.apk」と、専用のかな漢字変換である「EleAtok.apk」の2種類だ。ダウンロードとインストールが終われば、NFC搭載のスマートフォンは、キーボードを使いたい時に、「NFC対応キーボード」の中央に置くだけで利用できるようになる。

NFC搭載のスマートフォンをRFIDタグを封入したシールにかざすとブラウザーが開き、ダウンロードサイトへ案内してくれる。NFCやRFIDの便利さを実感できる瞬間だ

 スマートフォンをキーボードの中央部に置けば、確認音とともにスマートフォンの液晶上に「NFC Connected」と表示され、キーボードから文字入力を行なえる。スマートフォンをキーボード中央から持ち上げて別の場所に置くと、「NFC Disconnected」と表示される。接続・接続解除のレスポンスはクイックだ。

前提となるソフトウェア導入後は、「のせるだけ、かんたん接続」を実感できる

スマートフォンを中央のNFC通信部から持ち上げてほかの場所に移動するとDisconnectedとなり接続はきれてしまう。約10mmの範囲が接続できる距離のようだ

 さて、問題はキーボードという過去から現在まで、すべてのクライアント機器の伝統的入力機器として継続されてきた関心度の高いユーザーインターフェースに、この左右に分割されたシリコンゴム製のキーボードが適当かどうかという点だろう。

キートップの形状を見ただけでは判断できないが、実際に指先でタッチしてみると、予想以上のヘナヘナ感だ

シンボルのワイヤレスマークがエンボスされた中央のNFC通信部。ここのどこかにボタン電池なども収納されているのかもしれない

 この点において、完璧なブラインドタッチができない筆者などは、キーボードが左右に分割されているだけで、けっこう大きな入力障害となった。また当初から分かっていることとは言え、あまりにもヘナヘナしたシリコンゴム製のキーボードは快適とは言いがたい。きっとブラインドタッチのできる入力のプロは、シリコンゴム製のキートップにはもっと厳しい評価を出すだろう。

NFC搭載のスマートフォン。左はGALAXY NOTEで、右はGALAXY S III。いずれも赤い丸の部分がNFC機能部分

 あと、実際に何度か経験したが、キー入力の途中で何らかの理由で文字入力が止まってしまい、入力している文字が表示されないケースが発生した。また商品固有の問題とは言い切れないが、NFC対応キーボード専用のかな漢字変換であるATOKを活用しても、キーボードだけではすべての処理を行なうことができず、必ずどこかのタイミングでスマートフォンの液晶画面タッチが必要になる点がある。本来、外付けキーボードを接続使用することが設計思想ではないスマートフォンとの連携の難しさだ。

スマートフォンをキーボード中央部のNFC通信部に載せたら、すぐにConnectedと表示され入力ができる

これだけの文章を入力するだけでも、筆者はけっこう疲れた。本当に長文入力ができるかは自信がない

 NFCという新しい技術を、一見上手く活用した世界初の「NFC対応キーボード」ではあるが、初期設定で前提となるソフトウェアのダウンロードや導入作業が必要な点は、Bluetooth技術を採用した従来型のワイヤレスキーボードと大差無く、「のせるだけ、かんたん接続」は、それほどメリットとはならない。世界初と同時に、老婆心ながら「世界最後のNFC対応キーボード」にならなければよいのになぁ……と、思ってしまった。

一世風靡したMagic Cubeは、同じワイヤレスでもビジュアルと見た人へのインパクトの大きな製品だ

エレコムの商品以外に同テクノロジーを採用したワイヤレスキーボードが出てくるか楽しみだ。「世界初で世界最後」にはなってほしくない商品である


T教授

今回の衝動買い

アイテム:エレコム「NFC対応キーボード TK-FNS040BK」(ブラック)
価格:秋葉原・パソコンハウス東映にて1万580円(定価:1万8690円)で購入

T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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