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装着感も画質も大進化! ソニーの新HMDを最速レビュー

2012年09月11日 13時10分更新

文● 鳥居一豊

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圧縮音声の再現性も向上

音質メニュー。サラウンドモードやヘッドフォンタイプなどを選択できる。「ハーモニックスイコライザー」の項目がグレーアウトしているが、圧縮音声が入力されると選択可能になる

音質メニュー。サラウンドモードやヘッドフォンタイプなどを選択できる。「ハーモニックスイコライザー」の項目がグレーアウトしているが、圧縮音声が入力されると選択可能になる

 音質面でも進化している。前述したヘッドフォンの着脱のほか「ハーモニックスイコライザー」を新搭載したのだ。

 これは地上デジタル放送のAAC音声などの圧縮音声で、圧縮により失われてしまう成分を復元する技術。特に音の消え際の微小音の再現性を向上するため、テレビ放送はもちろん、動画配信サービスのコンテンツなどもより自然な質感を楽しめるようになる。

 全体的にはソニーらしいクリアな音質で、適度にメリハリを付けてボーカルが明瞭だし、ひとつひとつの音の粒立ちもいい。

 面白いのがサラウンド用のモードで、「ミュージック」と「スタンダード」はサラウンドオフの一般的なヘッドホン視聴に近い音場になること。両耳から聴こえる音がわずかに耳の外から聴こえてくる感じで、あまりサラウンド感を付加していないため、細かな音まで明瞭。2ch音声のソースに合うモードだ。

 サラウンド効果が高いのは「シネマ」と「ゲーム」。こちらはヘッドフォン視聴はまったく異なる音場で、前後左右の離れた位置から音が出ているサラウンド音場となる。

 シネマの方が響きの余韻が豊かで、映画館的な音響となっていることがわかる。アクション映画で爆発音など低音がたっぷりの場面を見ると、やや中低域が不明瞭になっている感じもあるが、もともとメリハリの効いた音質なので、情報量としてはほとんど差を感じない。

 一方、ゲームは残響感などは控えめで、音源の位置をより明瞭に再現する方向。そのため、前後や左右の移動感がよりはっきりと聴こえる。シネマに比べると、雄大さやスケール感が一回り小さくなるが、正確さという点ではシネマを上回る。

 このほか、新搭載のハーモニックスイコライザーを試すため、テレビの音楽番組などを見てみたが、いわゆる圧縮音源の補間機能と比べると、高域が強調される感じは少なく、響きの余韻や細かな音が増えた感じで、より自然な音質になる。

よりいい音になる!? ヘッドフォン交換に挑戦

シュアの「SE535」

シュアのカナル型ハイエンドヘッドフォンである「SE535」

 ヘッドフォン交換にも挑戦してみた。ヘッドフォンは愛用のシュアの「SE535」。ちょっと気になったのが、ヘッドフォン端子部分が狭いため、端子が大型のものでは接続しにくいこと。モニターヘッドフォンなどの標準プラグのものを、変換プラグを使って接続しようとするとかなり干渉してしまう。

 SE535の場合も端子部がやや大きめだが、接続自体は問題なく行なえた。ミニプラグ端子のものならば問題なく使えるだろう。気になる点があるとすれば、一般的なヘッドフォンのケーブルが長いため、頭に装着するとケーブルがだらりと垂れ下がることになり、多少邪魔に感じることがあるくらいだ。

 音質的には、ヘッドホン自体のクオリティーの差もあり、解像感や低音の伸びがかなりレベルアップする。サラウンド感の空間の広さもよりダイレクトに伝わるし、音の移動や後方から迫る音の迫力なども段違いだ。

 HMZ-T2の付属ヘッドフォンも低音再現などは十分だし、カナル型で解像感が高まったこともあり、映像との釣り合いという点は不満はなかったが、ヘッドフォンをグレードアップするとより映像に集中できるというか、作品の感動や興奮が増してくると感じる。

 なお、オーバーヘッド型を装着してみると、ヘッドパッド部分が大きいとヘッドマウントディスプレー部分に当たることもあるが、ヘッドパッドが浮いてしまうようなことはなく、装着感への影響は少なそう。

 そして、設定でインナーイヤーとオーバーヘッドを切り換えることもでき、それぞれの特性に合わせたサラウンド効果が得られるようになっているなど、さまざまなヘッドフォンに柔軟に対応できるようになっている。

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