謎のチーム「らぼぷとん」とは何か?
―― コンサートの前に音源をレコーディングして発表、という流れにはならなかったんですか?
伊藤 ならなかったですね。ああ、そうか、そういう風に言えばよかったですね。
―― そうするとコンサートもいろんな意味で楽だったと思うんですけど。
伊藤 うん、そうなんですけど、実はその前から、うちの藍(圭介氏)がいろいろとプロトタイプをこしらえていたんですよね。今回の映像システム開発として「らぼぷとん」がクレジットされるはずなんですけど。
―― その「らぼぷとん」って何ですか?
藍 クリプトンの本流から外れた、R&Dの独立チームみたいな位置づけです。それぞれ社内で本業はあるわけですけど。
伊藤 別にそういう組織があるわけではなくて、それぞれの部署の担当者がなにか面白いことをやりたいと言って。ときどきネタが決まると集まって作って公開する、みたいなことをやっているチームです。
藍 初音ミクをからめるとビッグプロジェクトにならざるをえないので、それ以外のテーマの開発をやっているわけです※4。
※4 それ以外のテーマ : らぼぷとんが残している作品にWeb楽器「beatonica」がある。Twitterでログインすると、自分のアカウントとフォロワーのアカウントにそれぞれユニークな音が割り当てられ、オリジナル曲が自動生成される。キーパッドでの手動演奏とループレコーディングも可能。これはライフネット生命「CONTENTS BATTLE!」への参加作で、らぼぷとんは当然のように優勝している。
―― 今回のらぼぷとんのミッションは?
藍 まず解決しなければならない問題として、ミクがオーケストラに合わせなければならないということですね。
伊藤 初音ミクのコンサートは過去何回かやっていますけど、あらかじめ3Dのレンダリングマシンで書きだした映像のマスターがあり、それを再生してミクが踊り始める。その映像のクリックを聴きながら、人間の方が合わせて演奏する形なわけですよ。それが今までやってきたコンサートなんですが、今回は逆なんです。オーケストラにミクが合わせなければならない。そういう技術的な課題はまだクリアしていないんですけど。
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