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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第99回

Xperia Tablet Sは「ソニーらしい」タブレットになったか?

2012年09月06日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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ソフト連携は始まったがまだ途上
カバーキーボードには過大な期待は禁物

 Xperia Tabletになってより明確になったのは、ソフトウエアおよびサービス面での強化・統合化だ。音楽再生アプリが「WALKMAN」になったことを筆頭に、写真表示アプリが「アルバム」に、動画再生ソフトが「ムービー」にと、スマートフォン「Xperia」、特に今夏以降の製品と合わせる形で、アプリケーション名および主要機能、操作方法を一致させている。

メインとなる3つのアプリはアイコン・画面デザインをXperiaのものに統一。機能・操作性も近づけてある

音楽アプリは「WALKMAN」に。DLNAサーバーとの連携もここから行なえる

 AndroidのタブレットがApple製品ほど売れていない理由として、「スマートフォンとの操作感統一の薄さ」を指摘する関係者は少なくない。Sony Tabletもその点は同じだったため、今回の名称変更にともない、Xperiaの方へ「寄せる」作業をしたわけだ。

 音楽プレイヤーであるWALKMANのできはよく、「アルバム」もスムーズに動く。データを収納するフォルダの設定が固定されていて変更できないなど、かゆいところに手が届かないと感じる部分はあるのだが、レディメイド的に「あまり手をかけないで使う」のであれば、問題あるまい。他方で、ソニーらしいサービスである定額制音楽配信サービス「Music Unlimited」と、WALKMANアプリが「一緒にいるだけ」で、きちんと楽曲連携していない点など、まだまだ「統合」が中途半端と感じる部分は多い。

 タブレットとスマートフォンを通信面で連携させる機能としては、タブレットの側からBluetoothを使ってWi-Fiでのテザリングをコントロールし、スマートフォン側には手を触れることなくテザリングのオン/オフをコントロールする「Xperia Link」も便利そうだ。取材時に見たデモでは、Xperiaをポケットに入れたまま、Xperia Tabletでテザリングを制御して通信をスタートする、という使い方がなされていた。

 今回の試用時では、まだXperia Linkを使うためにXperia側に入れるアプリ(Google Play経由で無償提供)が公開前であったため、試すことはできなかった。また現状はXperiaでしか使えない、という制限が用意されるという。これはかなり残念な部分で、他社端末への解放をお願いしたい。

 「Xperia Tabletならでは」としてお勧めできるのは、「スモールアプリ」と呼ばれる機能だ。これはSony Tablet Sにもアップデートで提供されているものだが、ウェブブラウザーなど他のアプリを使いつつ、特定のアプリ(ウェブブラウザーなど)を小さなウインドウで「重ねて」使える機能だ。要はパソコン的なマルチウインドウを擬似的に実現するものだ。今回、Xperia Tablet S向けに、ウィジェットをそのままスモールアプリ化する機能も追加したほか、タイマーやメモ機能なども使えるようになった。実用性はかなり高い。

アプリを「重ねる」スモールアプリは機能強化。メモなどのほかにウィジェットを活用できるようになったため、実用性はアイデア次第でかなり高まる

 周辺機器の面では、オリジナルのスタンドやキーボード付きのカバー「カバーキーボード」など、従来よりもかなり充実している。特に注目はカバーキーボードだろう。米マイクロソフトが販売を予定しているWindows RT機「Surface」にも似たものが用意されるため、「Xperia Tabletにもあるのか」と興味を惹かれた人が多いはずだ。

注目の高い専用オプション「カバーキーボード」

 ただ、カバーキーボードは「キーボード」というよりも、若干の凹凸がついた「タッチセンサー内蔵カバー」というべきもの。キーの押し下げ感は当然存在しない。Bluetoothなどを使った外部キーボードほど、タイプ感はよくない。あくまで「どこでもほんのちょっとタイプ感がよくなる」程度と考えるべきだ。接続は専用コネクターを使った有線タイプ。飛行機の中などでも使える。

カバーキーボードを斜めから。キーに突起などはなく、単に「キーの絵が描いてあるタッチセンサーの集まり」なのがわかる

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