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デノンが贈る、新世代ヘッドフォン+ネット対応オーディオ 第2回

MUSIC MANIACはこうして生まれた!!

DENONサウンドマネージャー米田晋氏に聞いた「音作り」の秘訣

2012年11月07日 11時00分更新

文● 鳥居一豊、写真●曽根田 元

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AH-D7100は、分解能が高くさわやかなサウンドを追求

―― MUSIC MANIACでは実際にどんなやりとりを経て完成したのでしょうか? 製品のチェックなどはどの段階から関わるのですか?

サイズの制約とどう取り組むかがヘッドフォン開発において重要だという

米田 製品の設計などが決まり、音が出る試作品ができた段階からチェックをします。新しい回路技術やパーツなど、特性などは仕様で予想ができるのですが、音だけは実際に鳴らしてみないとわからない部分がたくさんありますから。ヘッドフォンの場合は、デザインの制約などもありますから、なかなか理屈通りに音がまとまることは少ないですね。

―― デザインの制約と言うと、どんな難しさがあるのですか?

米田 まずはサイズの制約ですね。部品がきちんと収まるようにしないといけません。低域のためには大口径の振動板が理想的ですが、大きくなりすぎればヘッドフォン自体が大きくなって使いにくくなります。

 そのほかにも、駆動するマグネットのサイズや振動板の素材など、重箱の隅をつつくように細かくチェックしていきます。

―― 振動板の選定だけでも、形状や厚みなどさまざまなパラメーターがありますが、そのたびに試作をチェックするのですか?

米田 振動板の種類など設計の担当がある程度絞り込んでから、こちらに持ってきますが、それでも数は多いですし、さまざまな要素の組み合わせもありますから、膨大な数の試作品を確認することになります。

AH-7100に使用されているナノファイバー振動板

―― 音質の追い込みはどのように進めて行くのでしょうか? いくつもの試作から良い物と悪い物を選別していくとか。

米田 というよりは、まずは基本的なところからチェックしていきます。先ほどの音質のポイントの1にある音場がぶれないことを見ます。安定して音楽を再現できるか、全体のバランスやエネルギーを見ていきますね。そして、試作品の中から良い部分を見つけて、最終的に仕上げる音の方向を見極めることも大事です。オーバーヘッド型のAH-D7100の場合は、分解能が高く、さわやかできれいな音が出るところを生かそうとしました。

―― ナノファイバー振動板の良さが出ている部分なのでしょうか。振動板を柔らかいエッジで支えるフリーエッジにするなどの工夫がありますが、このあたりもいろいろとチェックしたのでしょうか?

米田 振動板が動きやすくするためのフリーエッジですから、接着方法などもいろいろと吟味しましたね。また、木製のハウジングを採用したので、空気の抜け具合の管理も大変でした。形と材質の両面からいろいろな試作を試しました。左右のバラツキが出ないことも重要です。ヘッドフォンは耳と音の出る部分の距離が近いので、左右の音質差は敏感になりがちですから。

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