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鈴鹿サーキット「Pokka 1000km」流し撮り講座【前編】

高速レースカーを流し撮り! 鈴鹿西コース撮影スポット&テク編

2012年08月28日 12時00分更新

文● 林 佑樹

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バトルが随所で見られる
鈴鹿サーキットの西コース

 一般観戦席で行ける西コースの名所は、シケイン手前の130R、ヘアピン、200R、スプーンカーブ、西ストレート(バックストレート)。今回は130Rは紹介していないが、これには理由がある。近くてそこそこ撮りやすそうに思えるが、車両の進入がエキゾーストノート(排気音)でしかわからないため、実は慣れていないと撮りにくい。そのため今回はスルーした。

 というわけで、ヘアピン、200R、スプーンカーブ、西ストレートの撮影ポイントを紹介していく。また写真にはそれぞれ撮影データを掲載しておくので、参考にしてもらいたい。スプーンカーブまでは、正面ゲートから約3kmほど歩く点に加えて、ヘアピン以降、自販機も売店もないのがお約束なので、事前に腹ごしらえと水分を確保しておこう。

メインゲートから、テクテクと最終コーナー側に向かって歩き、さらに130Rを目指して歩いていくと、西コースに入る

サーキット内各所にはコース案内図がある。メインストレートからスプーンカーブまでは、片道約3kmほどの道のり

各所にはクールダウンエリアがあるのだが……機材保護のため無縁なのがカメラ野郎どもの悲しい運命だ

僻地に入る前は必ず水分を確保

ヘアピンにある売店が最後のオアシス(F1のときは、スプーンに売店や自販機はある)

ちゃんとヘアピン売店の前には、このような警告看板がある

撮影スポット説明前に
ボディーの設定とレンズを確認

 冒頭でも書いたが、オート設定のままではかっこいいレース写真は撮りにくい。完全に正面やバックショットであれば、ブレもなく安心なのだが、真横や斜めといったアングルの場合だと、ホイールが回転しておらず「停車時」を撮影した感じになってしまう。というか、よく知らない人が見ると「停まってるところを撮ったの?」とまず言われる。

 以下、レース写真については、撮影データを掲載していく。表記ルールは、焦点距離、シャッター速度、絞り、露出補正、ISO感度の順。「280mm 1/500 f5 -0.7EV ISO50」というように表記している。また、焦点距離はEXIFデータのもの。実焦点距離はその値を1.5倍にしたものになる。

ヘアピンで撮影したもの。微妙にタイヤ外周部は流れているが、ホイールはカッチリ止まっているため、停車している感がすごい。280mm 1/500 f5 -0.7EV ISO50

 まず設定は、オートモードから脱却して、シャッター速度優先モード(Sモード、Tvモード)に切り替えよう。そしてシャッター速度は、まず1/250にしてみよう。ヘアピンは距離が近いため、1/500でもいい。そして手ブレ機能はオフに。なぜかというと、横振りをすることになるため、手ブレ機能がオンになっていると、成功したのにカメラ側の補正で失敗した絵になってしまうからだ。

 ISOについては、お天気次第だが、基本的には一番低い数値を選ぼう。逆に真正面や真後ろからのショットを撮りたい場合は、ISO400~800にしてシャッター速度を1/1250以上にしよう。慣れてきたらマニュアルモードが一番だが、ハイエンド機種は別として、マニュアルモード時に露出補正ができないボディーも存在するため、Tvモードを推しているわけだ。

 以下の写真4点は、ほぼ同じ焦点距離からシャッター速度を変更していったもの。低速になるにつれて、タイヤだけでなく、背景が流れ始める様子がわかるだろう。

スプーンから撮影した写真。210mm 1/1600 f5.6 -0.3EV ISO200

やや角度と焦点距離は異なるが、シャッター速度1/800。230mm 1/800 f4.0 -0.3EV ISO50

シャッター速度1/250。シャッター速度1/500を撮り忘れてしまったが、シャッター速度1/250~500あたりから、タイヤがキレイに回り出す。210mm 1/250 f7.1 -0.3EV ISO50

シャッター速度1/60。見事に振り遅れの写真だが、わかりやすいから掲載した。他の写真と比べてもわかる通り、タイヤだけでなく、背景の流れ具合もステキになっている。230mm 1/60 f13 -0.3EV ISO50

シャッター速度1/250あたりから、手ブレの影響が出始めるが、デジタルカメラはいっぱい写真が撮れるので、あまりに気にせずトライ&エラーで、流し撮りを体に染みこませていけばいい。230mm 1/60 f13 -0.3EV ISO50

 レンズは、イメージ的に白色の高価格でゴツイのが必要と思いがちだが、あながちそうでもない。エントリーモデルからミドルモデルまでは、APS-Cで35mm換算すると、記載倍率よりも1.5倍の計算になる。つまり、300mmまでのズームレンズであれば、450mmになる。まったく問題はないし、広く撮りたい場合は広角側に切り替えればいい。

 晴天下のレースでシャッター速度を落として流し撮りをする場合、絞りはF8~F10前後になるため、キットレンズであっても明るさ的には問題なく、意外とサーキット撮影の準備は早い段階で整っているのだ。なにより白色のお高いレンズよりも軽いため、レンズを振りやすく、フォームを身につけるに適している。

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