8月22日、ファルコンストア・ジャパンはリカバリ&DR(Disaster Recovery)の自動化を実現する「RecoverTrac」の最新版を発表。これにあわせ製品のコンセプトや技術について説明するプレス向けイベントを行なった。
リカバリ処理の自動化を実現する「RecoverTrac」
今回、発表されたRecoverTracは、同社のデータ保護製品「FalconStor CDP(Continious Data Protector)」やストレージ仮想化製品「FalconStor NSS(Network Storage Server)」に標準搭載されるシステムリカバリの自動化ツール。異機種サーバーや仮想・物理サーバーが混在するデータセンター環境において、スピーディーにシステムをリカバリする。
主力製品のFalconStor CDPの場合、エージェントを介して、CDPサーバーとiSCSIやFCで接続されたストレージにディスクイメージを差分転送する。単なるレプリケーションではなく、最大1000世代までの世代管理が可能になっているのが大きい。リカバリはミラーしたディスクそのものを利用することで迅速にOSを起動させたり、ディスクを割り当てることが可能。リカバリは、ファイルやボリューム単位の復旧、リカバリCDからのシステムリカバリー、VMware活用による仮想マシン単位での復旧のほか、今回紹介するRecoverTracを用いることで、物理(Physical)と仮想(Virtual)との柔軟なリカバリ、遠隔環境からの確実な復旧などが実現する。
FalconStor CDPは50~100TB・100サーバー程度の大規模環境で実績も高く、昨年の震災以降、BCP/DR案件も増加。同社のユーザー調査では、クリティカルなインフラで許容できるダウンタイムを最大でも4時間とするユーザーが多く、この時間を死守するため、バックアップやリカバリを見直しを始めた企業も増えているという。こうしたユーザーに対して、リカバリやDR処理の自動化を実現するのがRecoverTracになる。
迅速なリカバリーと手間なし操作が売り
製品について説明したファルコンストア・ジャパン取締役 技術本部長の森本雅之氏は、自然災害やインフラ障害、そして人為的なミスで障害自体をなくすのは難しいが、OSやソフトウェアのインストール、パッチ適用などを繰り返す伝統的なリカバリがすでに限界が近づいていると指摘。これに対してRecoverTracは、ボタン1つでリカバリーできるような環境を提供するとアピール。「どんなサービスでも(Any Service)」「いつでも(Any Time)」「どこでも(Anywhere 2 Anywhere)」の3つをコンセプトについて説明した。
まず「どんなサービスでも」というのは、システムも、データもすべてを統合的にリカバリできるジョブエンジンがキモとなる。起動順位やアプリケーションごとの特性に応じたきめ細かいリカバリをサービス単位で行なえるため、確実にシステムを再構築できるという。また、「いつでも」は分単位での復旧スピードがポイント。「他社はサーバー単体とか、特定データのみか、条件を付けているが、弊社は5台のマシンを5分で復旧と明言している」(森本氏)とのこと。
また、手動操作を排除する高度な自動化も大きな差別化要素。災害時などでDRを実現する場合、人為的なミスも多いため、極限まで自動化を推進することが重要だと説明した。さらに「どこでも」は仮想・物理いずれの環境でも相互で復旧できるほか、フェイルオーバーだけではなく、フェイルバックまで確実に行なえることが特徴になるという。
最新のRecoverTrac 2.5では、おもに仮想化環境への対応が強化された。ESXi 5.0環境やVMware HA校正の一括定義・仮想復旧のほか、RecoverTracから仮想マシンの構成確認や変更、リカバリー先環境にあわせたVM Switchの構成変更などが行なえる。また、さまざまなサーバーで検証されたP2PやV2Pコンバート機能も追加。その他、物理サーバーの電源管理を行なうIPMIやiLO(HP)、SSHなどのリモートインターフェイスをサポートした。