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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第2回

深く追求するほど、知は広がっていく――『世界の植物』の喜び

2012年08月24日 12時00分更新

文● 古田雄介

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「私以上にしっかり作る人はいないでしょうから(笑)」

―― 『小石川植物園の樹木』の前、2009年12月にスタートした『山手線が渡る橋・くぐる橋』は植物とはまったく別の内容ですが、こちらを始めた経緯も教えてください。

高橋 植物のほかにも、地図や地形にも興味があったので、退職後に時間ができたからはじめてみようと思っていたんです。

 山手線は凸凹のある山の手を走っているので、掘割りと築堤がたくさんあります。そのうえ、単線から始まった線路の本数が増えて架け替えた橋や、踏切から立体交差に変わったところも多いんですね。明治以降の話ですから地図や資料も残されているので、そういう歴史と経緯を調べたり、立体的なところを工夫して通している風景を見るのが楽しいんですよ。やっぱり同じ景色でも「私だけが知っている」というところもありますし。

2009年12月にスタートした『山手線が渡る橋・くぐる橋』。2012年8月時点で、原宿駅と東京駅以北のページが公開されている

新宿・イーストブリッジ(左)、神田駅遠望(右)


―― そういう自分だけが持っている視点が、高橋さんのサイトの共通の強みであり、喜びであったりするわけですね。ちなみに、まったく同じ視点の人が出てきたらどうします?

高橋 山手線でいえば、特定のガードなどを撮っている人はなかにはいます。でも、すべてを調べようとしている人は見たことないですよ。まあでも、まったく同じ視点の人が現れても別にいいです。私以上にしっかり作る人はいないでしょうから(笑)。


―― すばらしいです(笑)。では、今後の目標を教えてください。

高橋 『小石川植物園の樹木』は、園内の植物を網羅すれば訪れる人のお役に立てる状態になるので、そこを目指しています。『山手線が渡る橋・くぐる橋』もなかなか終わりませんが、完成したら今度は山手線内の中央線を調べます。『世界の植物』は……ストックが少なくなっているので、また新しいところに行きたいと思います。


―― 全体的に、データベースとして高密度&広範囲を延々と求めるのではなく、一定の濃度と範囲で完成形を目指す方向ですか?

高橋 そうです、まずは完成形を作りたいですね。完成したうえで、ディテール写真や新しい情報などを補填していければと思います。色々とやるべきことはありますが、幸い今は仕事が少ないもんですから、多くの時間を趣味に割けますし。



古田雄介

筆者紹介──古田雄介


 元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニアのフリーライター。近著は、当連載「顔の見えるインターネット」をベースにした『中の人 ネット界のトップスター26人の素顔』(アスキー・メディアワークス)。買ってね!




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