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ハーマン、渾身のBluetoothヘッドホン「harman/kardon BT」

AKG音質+apt-Xが最強!超実用的なワイヤレスヘッドホン

2012年08月11日 12時00分更新

文● 四本淑三

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iPhone、MacBook Pro/Airで試聴! 音質はさすがのハイクオリティー

iPhoneもすぐに認識

 さて、音ですよ。まず当然ながら、iPhone 4(iOS 5.1.1)と初代iPad(同)でペアリングに成功。そして噂通り、手持ちのMacBook Pro(13インチ、2009年モデル、Mac OS X 10.7.4)と、MacBook Air(11インチ、2011年モデル、OS同じ)ともペアリング成功。

 apt-X、AAC、SBCのうち、どのコーデックを使うかは接続時に自動選択され、手動で切り替えられません。選択されたコーデックは、ヘッドホン側のLEDの明滅回数で示され、apt-Xで接続した場合は4回明滅、AACコーデックで接続した場合は3回明滅。それを信頼するなら、MacBook Pro/Airはapt-X、iOS機器はAACで接続しているようです。

 まずヘッドホン自体の音質を知るために、iPhoneを有線で接続して聴いてみました。一言で言うなら、広帯域感のあるAKGサウンドを受け継いだ、密閉型のヘッドホンとして不満のない音質。ワイヤレスの仕組みがなくても、1万円台後半クラスのヘッドホンと比べて評価できるのではないでしょうか。

 特に80Hz以下のレスポンスは愉快なほどで、全体としてはフラットながらも、スーパーローが音場感を演出している、かなり大人な感じのチューニングになっています。低域側に力が入ると中音域の解像感がいまひとつなケースも多々ある中で、中音域の情報量が目減りして感じられるようなこともありません。遮音性も非常に優れているので、通勤用としての活躍も期待されます。

harman/kardon BTは内蔵リチウムイオンバッテリーで動作。充電は付属のUSBケーブルを使う。左ハウジング下に4極接点の「ミニミニジャック」があり、これでオーディオ入力/充電を兼用している

Bluetoothを使ったワイヤレス接続の他に、付属のケーブルを使った有線接続も可能。バッテリーが切れた時でも普通のヘッドホンとして使える。やっぱりハウジングの形状は、なんとなくiPhone4/4Sに見えなくもない

「BT」ボタンを押すとペアリングモードに。赤く点灯している状態でネゴシエーション開始、接続すると青の明滅で接続コーデックの種類を表示


ノイズは気にならないレベル、レイテンシーはもはや完全に感じられない

 素晴らしい。では、apt-XでMacBook Airにつないでみましょう。あれっ、正直言って有線との音質の違いは分かりません。あまり期待していなかった音質もすごくいい。これで、今まで使ってきたaudio-technicaのBluetoothレシーバー「AT-PHA05BT(SBCコーデックのみをサポート)」には戻れないなと思いました。

 harman/kardon BTも、ノイズはまったくないというわけではありませんが、レベルの低いホワイトノイズが薄く乗っているという感じです。よほど気をつけていなければ分かりません。高域の再圧縮ロスも感じられない。これは素晴らしい!

 そしてレイテンシーです。これもまったく感じられません。音の出るアプリを使ってもストレスなし。たとえば私は職業柄、取材の音声を起こすのに音声の再生、停止、巻き戻しを繰り返し行なうわけですが、その作業がBluetooth経由でできるとは思わなかった。まるで有線接続のようにストレスなし。

左ハウジング前側面に金属メッシュで小さな穴がある。ここがマイク。ヘッドセットとして使った場合の音質はもうひとつ。キーンというフィードバックノイズも若干残る


低音再生限界の高さが災い……YouTubeには不向き?

 気になったのは、YouTubeの動画をザッピングしていると、たまに素人さんが撮った映像で、ものすごい重低音が轟いてしまうことがあるわけです。マイクのポップノイズや、他のものに擦れた音を拾った「ズゴゴッ」という音がダイレクトに耳に来る。

 これはヘッドホンの低音再生限界が高いということの証明。普段こんな高性能なヘッドホンでYouTubeなんか見ないよ、という話でもあるのですが、BluetoothヘッドホンともなればPCのソースを分け隔てなく聴いてしまうわけで。ここは素人さんに録音技術の向上を期待するか、ヘッドホン側にローカットスイッチが欲しいと思ってしまいました。

 もう1つ気になったのは、MacBook Pro/Airでつないだ場合、再生するタイミングやソースによっては、たまにポツポツとノイズが入ること。これは他のBluetooth機器とSBCコーデックで接続した場合でも起きる現象なので、MacBook Pro/Air側の問題かも知れません。

 iPhoneやiPadとつないだ際も、apt-X同様、ノイズのレベルもごく低いし、レイテンシーも感じられない。その数値などの詳細は分かりませんが、楽器アプリなんかにはその恩恵が大きいように思えました。おそらくBluetoothオーディオの主流はこちらに移ってくるのではないでしょうか。そして、もっと高音質を訴求する製品が登場する予感がします。

「harman/kardon BT」感想まとめ

harman/kardon BT
遮音性・装着感 遮音性は高い、側圧はやや強め
音質 広帯域感があり、低域が利いても中域が消えない
レイテンシー まったく感じられない
ノイズ レベルの低いホワイトノイズが薄く乗っている程度
気になるところ 低域を拾いすぎるためYouTubeで雑音を拾いがち
MacBook Pro/Airでつないだときノイズが入る(Mac側の仕様?)

 harman/kardon BTは、ワイヤレスヘッドホンの最先端を行く製品として面白く、かつ価格相応のオーディオ製品としての価値があります。「ワイヤレスなんて邪道」と言っているマニアの方にも、Bluetoothの最新技術がどのレベルまで来ているのかを知るために、まず一度試してみることをおすすめしたいです。



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。


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