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人材開発を中心に据えるサイエンティアの人事システム

タレントマネジメントの波に乗る「スマートカンパニー」の真価

2012年08月22日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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宮城県に本社を置く独立系ソフトウェアベンダーであるサイエンティアは、高機能人事システムである「スマートカンパニー」を展開している。キャリア開発や後継者の育成などを含む「タレントマネジメント」を主眼に据えるユニークな製品概要について同社の宮腰康弘氏に話を聞いた。

人事情報をデータベース化して徹底活用

 昨年、設立30年を迎えたサイエンティアが人事システムを手がけるようになったのは、1990年代前半オフコンからクライアント/サーバー型システムへの移行時期にさかのぼる。受託でソフトウェアの開発を手がけていた同社は、たまたま人事関連の案件が重なったことで市場の感触をつかみ、1993年に初めての人事システムのパッケージを世に出すことになる。

サイエンティア 第2事業部 企画・営業グループ グループマネージャー 宮腰康弘氏

 通常、人事システムは給与計算と勤怠管理が2枚看板。多くの会社は給与計算から入るし、実際「人事システム=給与システム」という製品も多いが、サイエンティアは当初から人事管理に軸足を置いていたという。宮腰氏は、「給与計算のおまけではなく、人に焦点を当てたようなソリューションはできないかという相談を持ちかけてくるお客様が多かったんです」と振り返る。その後、1990年代後半に成果主義がもてはやされたという背景もあり、目標管理や人事評価などの機能の実装を進めた。結果として、スマートカンパニーは「高機能」と呼べる総合型の人事システムとして成長している。

 スマートカンパニーは全体を制御するフレームワークに、人事情報、目標管理、人事評価、キャリア管理、スキル管理、サーベイなどのモジュールを必要に応じて組み合わせることで動作する。必要な人事情報をデータベースに統合することで、人事部だけではなく、各部のマネージャー、従業員のそれぞれの立場で「見える化」できる。もちろん、扱っている情報の機密性が高いため、アクセス権限を細かく設定することが可能だ。

 他のシステムと容易に連携できるのも大きな特徴。「正直、大手企業では、人事給与システムがほぼ導入済み。基幹システムとして根付き、リプレースできないものも多い」(宮腰氏)という。こうした前提から、ERPから基本的な台帳情報だけを取得するといった連携で実績を積んでおり、タレントマネジメント機能のみスマートカンパニーで後付けするという導入も多いとのことだ。

既存の人事システムにタレントマネジメント機能のみを追加する

人事管理のシステム化は「最後の手つかず領域」

 では、スマートカンパニーの導入効果はどのようなものなのだろうか? たとえば、人事部は、社内に散在する人事情報をデータベースで一元的に管理し、戦略的に活用できる。また、マネージャーは部下のデータや目標、評価などの管理を行なえる。そして、従業員は自身の目標やキャリア計画を管理できるほか、研修や社内公募の応募なども行なえる。

 宮腰氏は過去の事例を振り返り、「たとえば、最新版では組織目標と個人目標がうまく連鎖できるようになっていたり、目標そのものが見える化できるので、単なる評価のツールを超え、実際のマネジメントにも活用ができ、目標管理のレベルが上がります」と話す。また、キャリアやスキル、職歴を検索できるので、最適な人材配置を実現できるといったメリットもある。

 こうしたタレントマネジメントのシステム化は、コスト削減や生産性の向上を進めてきた多くの企業において、「最後の手つかず領域」となっているという。宮腰氏は、「1人の人事部長が全社員の職歴や家族構成を知っているといった時代は、すでに過去になりつつあります。従業員の入れ替わりも激しく、配置転換やグローバル展開も多い。データベース化していかないと、もはやタレントマネジメントは無理なんです」と指摘する。

外資系ベンダーの参入で盛り上がる市場

 宮腰氏によると、最近の人事システムでは「タレントマネジメント」の名のもと、より人材開発が重視されるようになっているという。効率的に人材開発を進め、最適なポジションに配置し、企業の戦力として活かしていくために、スマートカンパニーのようなソリューションが求められているわけだ。また、人事部以外からの問い合わせが増えているというのも、大きな変化。「人事部以外に、たとえば製造業の現場部門からスキル管理をシステム化したいなど、直接問い合わせが来たりします」(宮腰氏)という。特にここ数年で、サクセスファクターズのような外資系タレントマネジメントスイートが国内に上陸したり従来型の人事給与システムベンダーもタレントマネジメント機能を拡充したりと、成長期に差し掛かりつつある市場だという。

同社が考える人事システムのカテゴリマップ

 こうした中、同社がとった手段の1つが、クラウド化だ。もとよりスマートカンパニーは数千名規模の従業員数の企業にオンプレミスで導入されるソリューションであったが、クラウド化することで、導入の敷居を下げている。クラウドサービスを始めて1年半程度だが、「規模的には従業員が300名を超えるくらいになると、何らかのタレントマネジメントツールが必要になってきます。とはいえ、人事はコストセンターですので、大きな投資を行ないにくいのも事実。また、そもそも規模が小さいと投資の絶対額も限られます。こうしたユーザーにもリーズナブルに始められる選択肢として、クラウドの普及が進んでいます」とのことで、実績も徐々に出てきているという。また、こうした先見性が買われ、2012年4月に結果発表が行なわれた「KVH東北応援アプリケーション開発コンテスト」でも見事に1位を獲得している。

 今後、市場の成長をにらみながら機能面での拡充を2013年までに完了し、間接販売体制の拡充に注力していくという。

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