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音楽を聴くなら携帯音楽プレイヤーを勧めたい理由 第3回

価格帯別ヘッドフォンレビュー エントリー&ミドルレンジ編

1万円以下で買えるコスパに優れたヘッドフォンはこれだ!

2012年08月08日 12時00分更新

文● 折原一也

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あらゆるジャンルに最適な
ソニー XBA-2SL

 昨年11月にソニーが発売した、自社製バランスド・アーマチュアタイプのヘッドフォンのミドルレンジモデル。2基のバランスド・アーマチュアドライバーはフルレンジ×1、ウーファー×1の構成となっている。実売価格は8400円ほど。

ソニー XBA-2SL

・iPod touch + XBA-2SL

 ウーファーを搭載したことで、高域にまで余裕があり、一気に音質を向上させている。「Chase the world」を試聴するとダンス系ミュージックと相性バツグンで、ボーカルもしっかり突き抜けた鳴らし方をする上に、低音ビートの音圧も出せており、テンポよく聞けて心地良い。「リアルワールド」でも軽快なサウンドで、ボーカルがとにかく前に出て来るので聞きやすい。硬質でベースラインが明瞭な低音も、筆者としては非常に好みのサウンドだ。「無想曲」のサウンドは生音ライクな音で音域を広げ、弦楽器もイヤミなく丁寧に再現し、まさに完璧。すべてのジャンルで高評価を獲得した、オールマイティなモデルだ。

音質評価:★★★★★★★(7)
コストパフォーマンス:★★★★★★★(7)

・ウォークマン + XBA-2SL

 持ち前のバランスの良さで、あらゆるジャンルにフィットしたモデル。「Chase the world」では、低音に音圧を載せて、ボーカルもソリッドに立てており、ノリのよいサウンド。ダンス系ミュージックにパワーを求める人には最適だ。「リアルワールド」はiPod touchで試聴したのと同系統だったが、ウォークマンの方が情報量とキレ味で一歩上手。ボーカルは輪郭の中の情報量まで見えてくるし、ギターサウンドも心地良い。「無想曲」のピアノは余韻の鳴らし方、弦楽器は情報量とメロディーラインの両方を両立し、全ジャンルで音楽として心地良く聞けたのはお見事としか言いようがない。

音質評価:★★★★★★★(8)
コストパフォーマンス:★★★★★★★★★(9)

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木の素材の良さを活かしたサウンド
ビクター HP-FX500

 同社がスピーカーでも採用してきた、木を材料としたウッドコーン技術をヘッドフォンに採用した“ウッドドームユニット”を搭載。ハウジングも木の“ウッドハウジング”を採用し、音の響きを伝える構造になっている。実売価格は8500円ほど。

ビクター HP-FX500

・iPod touch + HP-FX500

 “ウッドドーム”という素材の特徴を活かした響きの、味が出ているサウンド。「Chase the world」は高域再現に振ったサウンドで、ややシャカシャカと聞こえがちだが、ボーカルは独特の存在感のある鳴らし方で、低音のビート感もほど良く、面白いサウンド。「リアルワールド」は全体としてのヌケは良いが、中域の音が混濁している。ボーカルは前に出ていてライブ感がある。「無想曲」のピアノは硬いが、音自体の再現は良好。何より響きのある弦楽器の音が美しい。全体の精細感も確保されている。

音質評価:★★★★★★(6)
コストパフォーマンス:★★★★★★(6)

・ウォークマン + HP-FX500

 ダイナミック型らしい、元気のいい音再現が特徴のヘッドフォン。「Chase the world」は高域に華やかさがあり、ダイナミックな曲として良い意味で派手。低音もビート感を出ていて元気よく聞きたいなら向いている。「リアルワールド」はライブ感あるが、ちょっと音がごちゃごちゃな雰囲気がある。ボーカルは出ているので、声重視ならオススメだ。「無想曲」の弦楽器はすばらしく情報量を出すのだが、ピアノの存在感がちょっと弱いクセがある。中高域まで伸びるナチュラルな音は、貴重な存在だ。

音質評価:★★★★★★(6)
コストパフォーマンス:★★★★★★(6)

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中高音域の再生に強い
オーディオテクニカ ATH-CKM77

 ステンレス切削×アルミニウムのハイブリッドメタル構造を採用し、直径13mmのドライバーを搭載したダイナミック型モデル。バランスのよいクリアな中高域再生を実現する、スタンダードな音傾向のモデルだ。実売価格は8000円ほど。

オーディオテクニカ ATH-CKM77

・iPod touch + ATH-CKM77

 中高域の再生と、ライブ感を特徴としたモデル。「Chase the world」は高音に振ったきらびやかなサウンド。低音も音楽として楽しむには十分なサウンドが出ているが、ボーカルは若干埋もれがちだった。「リアルワールド」はとにかくポップという鳴らし方で、女性ボーカルの声はディテールも出せていた。低音はグルーヴ感があって、芯のしっかりした心地良い鳴らし方をする。「無想曲」は高域に振ったのが分かる音で、弦楽器を出せるがピアノは埋もれやすい。独特のライブ感と両立できるのが特徴で、音の滑らかさも良好だ。

音質評価:★★★★★★(6)
コストパフォーマンス:★★★★★(5)

・ウォークマン + ATH-CKM77

 高域再現に強いウォークマンでは、よりヘッドフォンの特徴が現れる。「Chase the world」では、高域は若干出すぎで、ボーカルの「サ行」は耳につきやすく、ダンス系は破綻しそうでしない絶妙なサウンド。「リアルワールド」はライブ系重視の元気なサウンドで、音の解像感もあり、女性ボーカルも可愛いらしく浮かぶ。「無想曲」は一気に情報量重視にシフトし、ピアノも生々しい上に、弦楽器もさらにえぐる。弦楽器のナーバスさが出ずに再生できており、相性はピッタリだ。

音質評価:★★★★★★★(7)
コストパフォーマンス:★★★★★★(6)

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次回予告:高価格帯のハイグレードとノイズキャンセルを紹介

 今回は5000円前後と1万円前後のモデルを紹介したが、次回最終回では2万円以上の高価格帯と、ノイズキャンセルタイプのヘッドフォンを紹介する。

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