価格帯別ヘッドフォンレビュー エントリー&ミドルレンジ編
1万円以下で買えるコスパに優れたヘッドフォンはこれだ!
2012年08月08日 12時00分更新
一気にクオリティーが向上する
高音質の激戦区 1万円前後クラス
音質を重視してヘッドフォンを選びたいユーザーに、最初に注目してほしい価格帯が1万円前後のクラスだ。このクラスでは、どこかを妥協した5000円以下よりもワングレード上の価格になり、音解像力が一気に上がるモデルがほとんど。その上で、自分が求める音に合わせたヘッドフォンを選んでほしい。採用する方式はバランスド・アーマチュア型がULTIMATE EARSの「UE700r」、ソニーの「XBA-2SL」と2機種、ダイナミック型がシュア「SE215」、ビクター「HP-FX500」、オーディオテクニカ「ATH-CKM77」の3機種と方式面でも激戦のクラスだ。
値段以上の実力を発揮する
シュア SE215
「SE」シリーズのエントリーに位置づけられるモデルで、マイクロドライバーという小口径のダイナミックドライバーを搭載。Kevlar素材で強化されたケーブルは着脱可能だ。実売価格は約8000円。
・iPod touch + SE215
実際に音を聴いてみると「この曲、こんな音していたっけ?」と思ってしまうような、圧倒的なパワーと解像力を持つ。「Chase the world」ではボーカルは浮き立ちリニアに聞こえる上に、重低音はズンズンとダンスを盛り上げる。曲全体のバランスが整って聞こえるのはさすがだ。「リアルワールド」では低音が出すぎだが、ボーカルもしっかりと作る。「無想曲」はピアノがまさに生音のような響き、弦楽器も細部まで精密描写する。音ひとつひとつを分離して描写できる性能は、1万円クラスでも屈指のデキ。
音質評価:★★★★★★★★(8)
コストパフォーマンス:★★★★★★★★(8)
・ウォークマン + SE215
定評のある解像力を、ウォークマンで更に引き出す組み合わせ。「Chase the world」ではダンス系としての打ち込みを鳴らし分けて、それでいてボーカルも主張しダンスミュージックとして完成度高し。音空間も広い。「リアルワールド」でも低音までのバランスが取れており、ボーカルもしっかりと聞かせる。バックバンドやコーラスまで気付かせるのは解像力のたまものだ。「無想曲」はピアノらしい音のリアルさがあり、弦楽器は小音量から丁寧に鳴らす。エネルギーバランスとしてはiPod touchの方が若干相性が良さそうだ。
音質評価:★★★★★★★(7)
コストパフォーマンス:★★★★★★★(7)
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ボーカル系が若干弱い
ULTIMATE EARS UE700r
カスタムチューニングドライバーと2基のバランスド・アーマチュアドライバーによって中高音域と低音域のサウンドを個別に再現した定番モデル。定価2万円近くだった従来製品UE700のリフレッシュ製品として発売された。実売価格は8000円ほど。
・iPod touch + UE700r
個々の音を丁寧に鳴らす、非常に個性的なサウンド。「Chase the world」では高域から低音まで音再現性はしっかりしており、ダンス系としては異質で丁寧なサウンド。ただ、ボーカルは聞こえるものの、どん詰まりのように聞こえる。「リアルワールド」もボーカルはしっかり聞こえるが、どこか違う所で鳴っているような、フィルターを変えたような音。ボーカルには向かないが、ロックという音楽自体とは相性はいいだろう。「無想曲」も繊細でゆったりとした響きを丁寧に出し、情報量が圧倒的。とはいえ、音楽として聞いて面白いかどうかは好みが分かれるだろう。
音質評価:★★★★★★(6)
コストパフォーマンス:★★★★★(5)
・ウォークマン + UE700r
特徴ある情報量重視のサウンドだが、音楽再生能力は高い組み合わせ。「Chase the world」は低音の打ち込みに注意が向く特徴的なサウンド。ただし、解像力があるのは間違いないが、高域は特に耳につきやすい。ボーカルはちょっとかすれるような鳴らし方だ。「リアルワールド」は音の余韻まで再現し、全域に情報をみなぎらせる。女性ボーカルは前面に際立つが、最後まで抜けないという、非常にクセのある音をする。「無想曲」は弦楽器、ピアノともに圧倒的な解像力を出し、重層的な音の厚みが出せる。全体に面白味がないとも言えるサウンドだが、ウォークマンとの組み合わせにはプラス効果がある。
音質評価:★★★★★★★(7)
コストパフォーマンス:★★★★★★(6)
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