FOSTEX HP-P1の音質向上効果は抜群
ヘッドフォンアンプ2製品を試聴した結果としては、iBassoのD12Hj、FOSTEXのHP-P1とどちらも順当に音質向上効果はあるという結果を得られた。
より高音質を追求するという結果を見ると、FOSTEXのHP-P1の音質向上効果は見事と言うほかない。iPhone 4Sのヘッドフォン出力からアナログ信号として入力することになるiBasso AudioのD12HjはあくまでもiPhone 4Sの音質の延長線上として、よりエネルギッシュな音で再生するのに対して、FOSTEXのHP-P1は音の出力ソース自体をiPhone 4SのDockコネクターからデジタル信号に切り替えられることもあり、すぐに聴いて違いが分かるレベルで音質が向上する。曲の情報量をより緻密に引き出し、低音がより締まった再生になり、空間の広がりを大きくするという音質傾向はオーディオの昨今のトレンドとも一致しており、デジタル出力の恩恵を素直に受けられた。
ただし、iBasso AudioのD12Hjはネットの実勢価格2万3000円前後で入手できるのに対して、FOSTEXのHP-P1はネットの実勢価格でも約4万9000円と実に2倍以上の価格差がある。iPhone 4Sの本体価格にも並ぶコストをかけることになり、スマートフォンで高音質を追求するならば、それなりの出費を覚悟しなくてはならないだろう。
専用の携帯音楽プレイヤーを買ったほうが
コスパ的には優れている
前回の携帯音楽プレイヤー、今回のヘッドフォンアンプのレビューに、音質評価のほかにコストパフォーマンス評価の項目を設けているとおり、本記事では高音質化のコストにも注目している。
既に触れた通り、iPhone 4Sを高音質化させる方向でFOSTEXのHP-P1を持ち歩くことを考えると、仮にスマートフォンの本体価格を0円で計算しても5万円近い出費になる。さらに、前回紹介したソニーのウォークマンZの音質の良さである。フルデジタルアンプ「S-Master MX」によるヘッドフォン出力の音質は、小さな音色の違いこそあれ同じ高解像志向のサウンドで、スマートフォン+ヘッドフォンアンプの組み合わせの音質を凌駕する。これでノイズキャンセルヘッドフォンも搭載し、16GBモデルであれば2万円台前半で購入できるのだ。
ほかにも、前回の記事で高音質プレイヤーとして挙げたCOWONの「iAUDIO i10」は1万円台前半から購入できるので、コストを抑えて高音質なヘッドフォン出力を揃えるのであれば、一考の余地があるはずだ。
もっとも、筆者自身がiPhone 4Sのユーザーということもあり、普段使いのiPhone 4Sを高音質プレイヤーに変えるヘッドフォンアンプには大いにロマンを感じる。あとは、ポータブル専用に機能を絞ってでも手軽に高音質化できる製品が出てくれば、ヘッドフォンアンプユーザーも増えるに違いない。
最終回となる次回は、外出先で高音質な音楽を聴くための、もう一つの重要デバイスであるヘッドフォンを価格帯別に試聴してベストバイを選出していく。
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