ヘッドフォンアンプ2機種で音質対決!
それでは、実際にiPhone 4Sにヘッドフォンアンプ2製品を接続して音質をチェックしてみよう。今回の試聴は、前回の携帯音楽プレイヤーの記事と試聴環境などの条件を揃えて、同日にまとめてテストしている。また、音質評価、コストパフォーマンスは前ページで紹介したヘッドフォンアンプの2製品のみを対象とした採点ではなく、前回記事の携帯音楽プレイヤーと同一基準による評価となっている。
リファレンスのヘッドフォンは前回と同じ、ソニーのバランスド・アーマチュアヘッドフォンの最上位モデル「XBA-4SL」(直販価格24800円)を用意した。
リファレンス曲も共通だ。iTunes Music Storeで購入者したAACファイル(約270kbps)で、低音を効かせたダンス系ミュージックとしてアニメ「アクセル・ワールド」主題歌の「Chase the world」(May'n)、ロック系のボーカル曲としてアニメ「人類は衰退しました」の主題歌「リアルワールド」(nano.EIPE)、インストゥメンタル曲としてゲームソフト「ペルソナ4」のサントラより「無想曲」(アトラスサウンドチーム)の3曲を用意した。
音の情報量は劇的ではなく手堅く変化
iPhone 4S&iBasso Audio D12Hj
iPhone 4Sによるダイレクト再生と差し替えしながら比較試聴したが、iPhone 4Sのヘッドフォン出力端子からの音声を本機にアナログ入力するためか、音の情報量が劇的に変化するという訳ではない。しかし、手堅く音質を向上させている。
「Chase the world」の試聴では、iPhones 4Sよりソリッドな音とも呼べるものの、大まかな音の傾向に変化はないが、音としてのバランスが整えられ、ドライな聞こえ方となった。特筆すべきポイントはiPhone 4Sでややブーミーに暴れ気味だった低音が整えられることで、音質としてワンランクアップした印象はある。
「リアルワールド」では、音のエネルギッシュさに独特の繊細さがついて、ライブ感が向上している。低音はより締まるようになるが、破綻するかしないかの一線のような荒々しさがある。「無想曲」の試聴では、中域に厚みを増しており、ピアノの音の美しさはよりダイナミックなものになっており、iPhoneの音の傾向をより増長させている。
音質評価:★★★★★★(6)
コストパフォーマンス:★★★★(4)
音質は圧倒的に良くなるが価格がネック
iPhone 4S&FOSTEX HP-P1
FOSTEX HP-P1の特徴として、本体背面のつまみの操作によってフィルターの切り替えを行なえる点が挙げられる。1の設定は、シャープロールオフ・フィルターと呼ばれる従来からのデジタルフィルター、2の設定は旭化成エレクトロニクスが開発したプリエコーに近い生音を再現する「ミニマムディレイ・フィルター」で、この2つの切り替えが可能だ。今回はすべての曲で1→2の順に切り替えて試聴を行なった。
まず、「Chase the world」の試聴では圧倒的なクリア志向で、Dockコネクターからデジタル出力した恩恵がよくわかる。音の細部までを見通せるようになり、重低音はよりうまく抑えながら量的に出すタイプ。2の設定ではよりソリッドな志向で、特に高域がきらびやかになる。音の広がりが大きくなるので、バックバンドも含めた広がりがしっかりと出せるようになった。
「リアルワールド」ではボーカルがきわ立つうえに、ボーカルの輪郭もしっかりと出せる。また、低音部分はグルーヴ感のある重低音が出せるようになるので、ロック系を聴いていると心地良い。2の設定ではやはり空間の広がりが大きくなり、低音にまで情報量がアップ。曲をより鮮明に聞き分けられるようになった。特に骨太のベースラインあるサウンドが好みならベストマッチだ。
「無想曲」では、やはり音の情報量がワンラックアップし、中域の精密描写ぶりがすさまじい。ピアノの音も響きの美しさが出てくるし、高域まで美しく聴けるためインストゥメンタルを聴くならアリ。2の設定では、より繊細な音となり、ピアノはゆったりと深みをもたらす。高域は1ほど自己主張しなくなるものの、落ち着いて鑑賞するならオススメだ。
音質評価:★★★★★★★★(8)
コストパフォーマンス:★★★★★(5)
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