NTTドコモは2012年度第1四半期の決算を発表。営業収益は1兆723億円、営業利益は2626億円と堅調な数字を残している。
NTTドコモの加藤薫社長は、25日に発生したspモードのトラブルについて「原因究明とともに、ご迷惑をおかけしたことを特定したお客様に対応している。再発防止に努めている」と謝罪するとともに会見をスタートした。
Xiスマートフォンは急速に伸びるも
MNPによる流出がやはり課題
第1四半期で注目されるのはやはりスマートフォンの好調さ。販売台数は249万台で、前年同期の130万台に対し、2倍近い数値となっている。そのうち、Xi対応端末の比率は約4割。夏モデルでは大幅にXi対応モデルを増やしたことで、通期でこの比率を6割にする予測をしている。
Xi自体の契約も順調に伸ばしており、同期に300万契約を突破。2012年度末には1000万契約になる予定だ。エリア展開への設備投資も進めており、同じく2012年度末には約2万1000局、人口カバー率で約70%を予定する。
なお、夏モデルのスマートフォンの販売台数については、現時点で約83万台。そのうち「GALAXY S III」が34万台と4割を占めている。「大きな画面が好評で手応えあり」とした。
家族セット割を8月中、全国で展開
無線LANサービスも強化する
一方で、まだまだ問題を抱えているのがMNPによる流出。着実に改善されているとはいえ、第1四半期だけで約25万の流出となっている。前年度は通期で80万の流出で、今年度は40万と半減させることを目標としているが、すでに大きな割合を占めている。
それに対しては、ユーザー層に合わせた料金施策を実施する。毎月の料金から一定額を割り引く「月々サポート」の活用により、実質的な端末価格を1万円台後半程度に抑えるとともに、家族2回線以上の加入で1回線あたり1万円割り引く「家族セット割」を8月1日から全国で提供するなど、夏商戦に力を入れていく予定だ。
またユーザーの満足度や利便性の向上のために、公衆無線LANサービス「docomo Wi-Fi」にも力を入れていく。現在のスポット数は2011年度末の約1.5倍となる1万4200スポットだが、9月には7万、2012年度末には12~15万スポットを目指す。
このように急速に増やすアクセスポイントは、バックボーンにXiが使われるケースが多くなるのでは? という疑問も出たが、「Xiでも3Gではないことによるオフロード効果はある。ただし、(バックボーンが)光ファイバーならばオフロード効果は100%になるので、(FTTHがバックボーンのアクセスポイントも)しっかり増やしていきたい」とした。
秋に予想される新型iPhoneのリリースや、KDDIによるLTEサービスのスタートなど、競争環境はますます厳しくなっていくが、「ドコモならではの総合力を活かしたサービス」を強調する一方、長らく移動体通信に関わってきた技術者でもある加藤氏らしく、「(モバイルのネットワークは)トータルでどうチューンナップするかが腕の見せどころ。よい競争ができればと考えている」と、ドコモの強みであるネットワークへの自信も見せた。
