MicroServerとSambaで作るオリジナルNAS 第3回
基本的なNASが完成したら、次は強化だ!
UbuntuでNASにしたHP MicroServerを音楽配信サーバーに
2012年08月03日 11時00分更新
本連載では、Ubuntu専門誌「Ubuntu Magazine Japan」に掲載された記事を元に、日本ヒューレット・パッカードの小型サーバー「HP ProLiant MicroServer」にUbuntu Serverを組み合わせてオリジナルNASを作る方法を紹介している。第1回でUbuntu ServerのRAID設定、第2回でSambaを導入し、基本的なNASの構成は完成した。続いては、NAS機能をもっと強化してみよう。
NASの活用DAAPサーバー
ここまでで、ファイルサーバーとして機能するようになったMicroServerだが、それだけではもったいないのでもっと働いてもらうことにしよう。以下、ファイルサーバー以外の活用方法をいくつか紹介する。まず最初はDAAPサーバーだ。
DAAPは「デジタルオーディオアクセスプロトコル」の略で、『iTunes』や『Banshee』、『Rhythmbox』でネットワーク越しに音楽ライブラリーを共有できる。DAAPサーバーの実装はいくつかあるが、今回は『forked-daapd』を使用する。まずはリスト12のコマンドでインストールしよう。
リスト12 forked-daapdのインストール
$ sudo apt-get install forked-daapd
■まずはDAAP サーバーをインストールする。
音楽ライブラリーの置き場だが、デフォルトで「/srv/music」となっているので、ここにする。複数人のユーザーがいる場合でも、ここにまとめて置くのがいいだろう。その場合、ここをSambaで共有するようにしておくと便利だ。ただしその場合、個人の趣味に合わない曲や自分が購入していない曲なども置かれることになる。少なくとも権利的には特に問題ない。あとはアーティスト名やアルバムで再生したり、細かく設定したい場合はプレイリストを活用すればいい。これはiTunes自体がそういう使い方を想定しているので、さほど違和感がないはずだ。あるいは、みんなで聞く曲だけをここに置き、そうでない曲はDAAPを使用せずに再生するのもいいかもしれない。
DAAPで用いるフォルダーの作成はリスト13のとおりだ。パーミッションの777(全ユーザーが読み書き可)は緩すぎる気もするので、実際に設定する場合はグループパーミッションを設定するか、あるいは専用のユーザーを作ってほしい。『forked-daapd』をインストールすると「daapd」というユーザーが作成されるので、こ れをうまく使うのもいいかもしれない。ようは『forked-daapd』が読めるパーミッションでさえあれば、データベースに反映することができる。
リスト13 DAAPで用いるフォルダー
$ sudo mkdir /srv/music
$ sudo chmod 777 /srv/music/
■フォルダーを作成し、パーミッションを変更する。
Sambaで「/srv/music」を共有しない場合、Nautilusの[ファイル]-[サーバーへ接続]を使うと便利だ。[サーバー名]には「ホスト名.local」、[種類]は[SSH]、[フォルダー]は[/srv/music]、あとは[ユーザー名]と[パスワード]を入力し、[接続する]をクリックすればいい。
音楽ファイルをコピーしたら、それがデータベースに反映されるまで待てばいいい。即座に反映したい場合は、リスト14のコマンドを実行する。
リスト14 即座にデータベースに反映
$ sudo service forked-daapd force-reload
■コピーした音楽ファイルをデータベースに即反映したいときは、このようにすればいい。
『forked-daapd』の便利なところはいくつかある。まずライブラリとして管理できる点があるだろう。またiTunesではOgg VorbisやFLAC形式のファイルを再生できないが、『forkeddaapd』を使用すると「トランスコード」を行なうことによって再生できるようになる。BansheeやRhythmboxでリッピングする場合には、便利だろう。
ただし、実際に再生させてみるとiTunesとRhythmboxではうまくいくが、Bansheeでは[音楽共有に接続できません]と出て再生できない。これは『forked-daap』のバグによるものだが、今のところ修正されたパッケージは配布されていない。またUbuntu12.04では、デフォルトのプレイヤーがBansheeからRhythmboxに戻ることが決定している。今からなら、Rhythmboxをインストールするのがいいのではないだろうか。
DAAPはAppleが作った規格だが、全面的に公開されているわけではなく、リバースエンジニアリングした結果だ。これ自体はよくあることなのだが、iTunesのバージョンアップによって変更が加えられ、『forked-daapd』が使えなくなるということもままある。そういった場合、『forkeddaapd』をバージョンアップするかiTunesをバージョンダウンするしかない。こればかりは事前に対処する方法がないので、そういうこともあるということを頭に入れておこう。
最終回となる第4回では、動画や映像の配信を行なうDLNAサーバーを構築してみよう。
本記事は、Ubuntu Magazine Japan vol.07掲載の「MicroServerとSambaで作るオリジナルNAS」を再編集したものです。内容は原則として掲載当時のものであり、現在とは異なる場合もあります。 |

この連載の記事
- 第4回 NASになったHP MicroServerで動画も配信
- 第2回 UbuntuとSambaでHP MicroServerをWindows用NASに
- 第1回 HP MicroServer×Ubuntu ServerでNAS作り
- この連載の一覧へ