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あいつら、未来に生きてるぜ!MMDの魅力を徹底解説 第1回

3Dアニメに国境なし!世界が注目するMMD、その理由は?

2012年07月27日 12時00分更新

文● kawara(@KAWARAsan

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プログラマーたちはMMDにできることを増やし、
クリエイターたちはMMD作品の幅を広げていく

 MMDが公開された2008年は、ニコニコ動画がわっと視聴者を増やしていった年でもある。「自分も動画を投稿してみたい」というユーザーも増えたが、「歌ってみた」のようには歌えない、「描いてみた」のようには描けない、そんなユーザーも多かった。そこを直撃したのがMMDだ。絵が描けなくても、歌唱力がなくても、動画の素材を自分で撮影しなくても、用意されたモデルを動かすだけで動画が作れてしまう。

 第8回までMMD杯の運営を務めてきたcortさんも、そんな魅力に取りつかれた1人だ。

「MMDの最大の魅力は、比較的貧弱なPC環境でも動画が製作できてしまうこと。自分も最初に、ニコニコ動画に投稿されたUssyさんのCG動画を見て、その世界にあこがれ、自分でもやってみたいと思ったんだけれど、ああいう本格的なCGは手が出せない。まさに、そこに、MMDが登場してきた」(cortさん)

MMD登場前、2007年11月に発表された「melody...」(作者:Ussyさん)。人間のキャラクターを動かすのは難しいと言われるソフト「六角大王」を駆使、3Dの初音ミクがなめらかなダンスをするCGに「すげええええええええええええええ」と感動のコメントが集まった。

 MMDそのものの気軽さにくわえ、MMDの周辺ソフト、またMMDを便利にするツール・プログラムが次々とあらわれてきたことも、その流れを後押しした。

 その代表格が、「PMDエディタ」(作者:極北Pさん)というMMD用のモデル編集ソフト。これが登場したことで、3Dモデルまでユーザーが生み出せるようになった。PMDエディタは「モデラー」と呼ばれるCGキャラクター作者たちをひきつけ、アニメの登場人物から、精緻なオリジナルモデルまで、多種多様なモデルが爆発的に増えていった。

 モデルが増えれば、表現の幅も広がってくる。当初初音ミクを踊らすためだけに作られたMMDは、おそらく樋口さんの予想を“斜め上”に超え、PV・ドラマ・瞬間芸など、あらゆるジャンルの映像作品を作り出すプラットホームになっていったのだ。

cortさんの 第8回MMD杯参加作品。164さんの曲をベースにし、ニコニコ動画だけで60万再生された人気PV作品だ。

 MMDという1つのソフトを軸に、ユーザーたち自身がどんどんと新しい要素を加え、シーンそのものを発展させていく。いわゆるCGMの展開が、MMDの発展を一気に加速させていった。そうしてMMDはニコニコ動画・YouTubeなどを中心に、世界レベルでファン層を広げた。MMD杯の海外版と言える「MOMICUP」も既に2回開催されており、海外のコミュニティーサイトや情報サイトも充実してきている。

「優勝者に与えられるのは名誉のみ」
MMD杯が象徴するCGMカルチャーの純粋さ

 MMD大会「MMD杯」は、ニコニコ動画のお気に入りに相当する「マイリスト」数で、総合およびテーマごとに優勝者を決定するユーザー主催の大会。だが、優勝者に与えられるのはCGで作られたトロフィーのみ。いわば“与えられるのは名誉だけ”という、そんなストイックな大会に、500人を超えるユーザーが参加するのだから、「何かを表現したい」という人々にとって、MMDはまさに福音だったといえるのではないだろうか。

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