電アス・ゲーム部 第14回
『ツヴァイ!!』や『海の檻歌』が好きな日本ファルコムファンは寄っといで!
【趣味的1本!】ええい、早くヒロインとくっつけ! 『那由多の軌跡』のもどかしさは日本ファルコムの伝統か
2012年07月31日 11時00分更新
『イース』や『ツヴァイ!!』で見せたアクションゲームへのこだわりは健在
まずは気になるゲーム性についてですが、言うまでもなく大安定! だって、日本ファルコムと言えば『イース』(特に『イース7』や『イース・オリジン』)や『ツヴァイ!!』のように、アクションゲームとして完成度が高いゲームを多数輩出してきたメーカーです。今回に限って出来が悪いわけがないじゃないですか。
ザコ敵はいい意味でいやらしい位置に配置されていて、ボス敵は力押しが通じにくく、ちょっと頭を使わないと倒せないという絶妙なバランス。ステージのギミックも多彩で、さまざまな特殊なアクションを駆使して進むパズル性も楽しめます。もちろん、操作性も快適で、ボタン入力のレスポンスやアクションの切り替えといった部分も完璧です。まあ、これまでの日本ファルコム作品でもおなじみのことなんですけどね。
『那由多の軌跡』ならではの部分として楽しかったのは、携帯ゲーム機のテンポに適したやり込み要素がどっさりと用意されていること。やり込み要素自体は珍しくないんですけど、その遊ばせ方がうまいんですよ。
これまでの日本ファルコム作品の場合、“アイテム図鑑をコンプリートするとご褒美がもらえる”みたいに、本当の意味でやり込まないと見返りが少ないケースが多かったと思います。でも『那由多の軌跡』はPSPという携帯ゲーム機のテンポを意識したのか、もうちょっと軽い感じになっています。
例えば、特殊な条件を満たしてステージをクリアすると、1ステージで最大3つのスタンプ的なものがもらえます。このスタンプ的なものが一定数たまると、主人公が使える剣技が増えていく流れになっています。すべてのステージを極めることが理想ではありますが、そうでなくてもゲームを進めていけばある程度の新技は覚えられるわけで、ゆる~く遊んでもそれなりにやり込み要素を楽しめます。
コレクションアイテムの収集も段階的にご褒美をもらえるので、「絶対にコンプリートしなきゃ!」というほど意気込まなくても大丈夫。何気に忙しい身である社会人の自分にとって、このぐらいのバランスのやり込み要素はうれしいところです。
冒険活劇×少年少女の青春模様=僕の大好きな“日本ファルコム節”が炸裂
ネタバレになるので多くは語りませんが、僕は『那由多の軌跡』を遊んでストーリーとキャラクターにホレました。もうね、いい意味でベタ、と思わせておいて……という部分も含めて“王道の冒険活劇”なんですよね。伏線の張り方とかが、やっぱりうまい!
壮大なドラマ部分もさることながら、『英雄伝説』シリーズ世代の自分としては、少年少女のもどかしいやりとりがたまりません。『那由多の軌跡』の物語冒頭で、ナユタの幼なじみであるライラという少女がナユタとの久々の再会を前にして乙女な妄想を爆発させるシーンがあるんですが……たまりませんね!
そして当然のように彼女のドキドキをスルーするナユタのニブチンっぷりもナイスです。おそらく、2人のやりとりを見て、『海の檻歌』のフォルトとウーナを思い出してニヤリとする人もいるんじゃないでしょうか。そしてそんな人は、きっと『那由多の軌跡』の物語を『空の軌跡』や『零の軌跡』のように存分に楽しめるはずです。
さて、ここで最初に提示した「もしかしたら、シリーズの名前だけ借りた別ゲームじゃないの?」という問題に立ち戻ってみます。すごく正直に答えると、『軌跡』シリーズじゃなくても成立したゲームだとは思います。世界観が違うわけですしね。
でも、エンディングまで遊んでから振り返ると、単に『軌跡』シリーズの名前を借りただけじゃなく、これまでコマンド選択型バトルのRPGとして展開してきた『軌跡』シリーズを、テンポよく楽しめるA・RPGとして表現した作品だということにも気付きます。
まあ、なんだ。細かいことはいいんですよ! 大事なことは『那由多の軌跡』が日本ファルコムらしい完成度が高いA・RPGであること。『軌跡』シリーズであろうとなかろうと、このシステムを生かした『那由多の軌跡』の続編にも期待します! って、気が早すぎですかね。
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