25周年を迎え、目指すは事業コンシェルジュ
「弥生オンライン」スタート!第一弾は店舗経営向け
7月24日、業務ソフトベンダーの弥生はクラウドサービス「弥生オンライン」の第一弾として、店舗経営者向けに特化した「やよいの店舗経営 オンライン」を9月から開始すると発表した。発表会では25周年を迎えた同社の戦略もあわせて披露された。
業務ソフトベンダーから事業コンシェルジュへ
発表会では、弥生 代表取締役社長の岡本浩一郎氏が登壇、1978年の日本オールシステムズの設立から数え、25周年目を簡単に振り返った。同社は1987年の「弥生会計」からスタートし、「弥生販売」「弥生給与」「やよいの青色申告」などさまざまな業務パッケージソフトを展開してきた。岡本氏は、「(ほぼ同時期に立ち上がった)マイクロソフトさんほど爆発的な成長というわけではないが、着実に実績を伸ばしてきた」とアピールした。
1990年代のインテュイット時代以降、ライブドアグループに入るなど紆余曲折あったものの、弥生12シリーズの販売本数も30万本(新規、バージョンアップ/保守合計の見込み値)を突破。ライブドアグループから分離独立した2007年以降も、順調に本数シェアを拡げているとアピールした。
そして、岡本氏は25周年目を迎えた2012年、業務ソフトの提供やサポートをメインとした業務ソフトベンダーから事業そのものの成功をサポートする「事業コンシェルジュ」を目指すと説明した。「お客様はソフトウェアを使いこなすのが目的ではない。目的はあくまで事業の成功」(岡本氏)ということで、あらゆるニーズに応え、事業を円滑にするためのさまざまな支援を進めていくという。実際、こうした試みの一部はドリームゲートとの共同サイト「開業計画NAVI」や「青色申告応援プロジェクト」、弥生自体が福利厚生を提供するサービスなどの形でスタートしているという。
丸投げでも自計化でもない「半自計化」という第3の選択肢
今回、新たに発表された「弥生オンライン」は同社が今後提供するクラウドサービスの総称で、デスクトップアプリケーションと共にビジネスの柱となる存在だ。とはいえ、「クラウドサービスの進め方は、われわれもかなり悩み、試行錯誤している」(岡本氏)とのことで、一般企業や会計事務所などからクラウド化の強いニーズはあるものの、使い勝手に対する要望はユーザーによって異なるという。そこで、弥生では業務ソフトを導入していない潜在市場をシンプルで使いやすいクラウドで展開し、すでに業務ソフトを使ったことがあるユーザー用向けには、使い勝手自体を変えず、データベースのクラウド化を将来的に実現していくと説明した。
この弥生オンラインの第一弾が「やよいの店舗経営 オンライン」で、ターゲットはまさに店舗経営を行なう個人やSOHO。おもに飲食、理美容、小売りなどのまさにユーザーが社長であり、従業員であり、業務担当でもあるという事業者で、申告事業所数で100万、年間新規企業者数でも10万を超えるという(国税庁調べ)。このやよいの店舗経営 オンラインでは、会計ソフトを用いたいわゆる「自計化」と、会計事務所への「丸投げ」に変わる第3の選択肢として「半自計化」を提供する。
具体的には日々の入出金をオンラインで記録すると、会計事務所側が弥生会計AEに取り込んで会計処理を実施。事業者は売り上げや利益の推移をリアルタイムで確認できるほか、会計事務所側も経営の問題点を逐一レポートし、アドバイスすることが可能になるというものだ。こうした提供形態から、申し込みは弥生のパートナー会計事務所(PAP会員)経由で行なう。全国4500のPAP会員中、年内に400事務所を見込んでいる。
機能はシンプルで、あらかじめ用意されたフォーマットに入出金を入力すると、月別に予算と実績をグラフ化できるというもの。現金以外、カード売り上げ、クレジットカード支払い、売り掛け、買い掛けなどに対応するほか、定期的な予定取引も登録できる。日報や取引帳、取引一覧には付箋を付けることも可能。月締め管理が終了した段階で締め作業を行ない、会計事務所に通知すればよい。
システムはマイクロソフトのテクノロジーを全面採用しており、GUIはSilverlight、クラウドはWindows Azure、DBはSQL Azureを用いる。データも多重の複製を行なうことで、保全されており、あえて非同期の複製を行なうことですべてを失うリスクを回避しているという。
サービスの初期費用は無料で、月額利用料は1470円(税込)となる。利用日より最大2ヶ月間は無料で、利用料には操作サポート費用も含むという。ただし、PAP会員による顧問料は別途必要になる。正式リリースは9月3日で、8月6日からはオープンβテストが開始される。
初出時、「同社の業務ソフトの販売本数は累計で30万本(新規、バージョンアップ/保守合計の見込み値)を突破」と表記しておりましたが、30万本突破は弥生12シリーズのみの販売本数になります。お詫びし、訂正させていただきます。本文は訂正済みです。(2012年7月25日)