中国の携帯電話チェーンとの協力
発展中の市場では先進国とは異なるスマホ市場が?
7月7日に初のツイートとともに情報公開を開始したあとに、Jollaは中国最大の携帯電話ショップチェーンの「D.Phone」との提携を発表した。D.Phoneが展開する2000以上のショップでJollaのMeeGoスマートフォンを販売するというものだ。アプリケーションストアなどエコシステム側の開発も進めているという。
Hurmola氏は、iOSやAndroidがスマートフォン市場を独占する中、「新しいものが求められていると確信している」と述べている。MeeGoファンやコミュニティーの根強い存在に加え、携帯電話市場ではトレンドが急速に移り変わることから、チャンスは充分にあるとみているようだ。
だが、iOSとAndroidに対抗を目指した取り組みは今も多数あり、LinuxをベースとしたOpenMokoのように消えていったものもある。現在がモバイルの時代と言っても、プラットフォームを確立することは簡単ではない。
端末メーカー、オペレーター、開発者などが関係する複雑なエコシステムをうまく回し、かつ規模の確保が求められる。D.Phoneとの提携から、発展中のエリアを狙うことが予想できるが、一般ユーザーがMeeGoスマートフォンと聞いてどのぐらい受け入れるのかはわからない。
Hurmola氏は地元フィンランドのメディアTieto Koneで、「既存のプレイヤーと直接競合しない。新しい代替を作りたい」「Linuxハッカー向けではなく、マスマーケット向けのスマートフォンを作りたい」などと述べている。JollaメンバーがNokia出身者であることを考えると、さまざまなコネクションやノウハウを活用していくと思われるが、成功は楽観できない。また、NokiaとはBridgeプログラムの支援を受けたこともあり友好な関係だが、特許など知的所有権を譲り受けたわけではないようだ。
新しいスマートフォンプラットフォームとしては、Mozillaの「Firefox OS」も2013年はじめに登場が見込まれている。Firefox OSも最初はブラジルで投入が予定されており、スマートフォンの次なる市場では違った展開になるのかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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