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「図解ビジネス情報源 新エネルギー」の著者に聞く 第2回

一人ひとりが賢明な選択ができるために必要なこと

正しい知識とわかりやすさにこだわり

2012年07月26日 09時00分更新

文● 真鍋裕子、●取材・構成/山口学

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アジアなどの新興国も重要なプレーヤーに

 中国、インドなどのアジア諸国でも新エネルギー導入は急速に進んでいます。ビジネスチャンスがある一方で競合企業も誕生していますので、今後もアジア諸国の動向から目が離せません。

 アジア各国が新エネルギーを推進するのは、経済発展に伴う急速なエネルギー需要を賄うことや、エネルギー安全保障、環境対策といった目的がありますが、実は、新規産業の創出によるグリーン成長に期待している国も多いように見られます。欧州や米国、日本は、エネルギーに関する課題に長い年月をかけて対応してきましたが、急速な経済成長を続けるアジアでは、さまざまな課題を一気に解決しようとしている印象を受けます。そのため、「環境保全のために新エネルギーを導入しました」という一方で、部屋の冷房が効きすぎていて省エネルギーの視点は抜け落ちているなど矛盾した状況も生まれており、少し残念に思うこともあります。

 本書では、海外のエネルギー政策などを紹介しながら今後の見通しについても解説しており、海外でのビジネス展開を模索している企業担当者にも一読していただきたいと考えております。

中立的な立場から新エネのメリット・デメリットを考察

 また、本書では「節電所」についても触れました。これは、省エネにより需要を減らすことが発電と同じ効果を持つという視点から、本書でも取り上げるべきテーマだと考えたからです。日本はエネルギー政策の基本として3E+S(エネルギー安全保障、経済性、環境性+安全性)を掲げていますが、「省エネルギー」はどれも実現できる優秀な手段です。国全体の3E+Sを追求するのであれば、今後は、エネルギー供給会社が省エネルギービジネスや蓄電ビジネスを行うなど、広い意味でのエネルギー会社へと進化していく必要があるのではないかと思います。

 震災後、「電力を選びたい」という声が多く聞かれるようになりましたが、そのためには、 “私たち一人ひとりが責任を持って判断していく”という覚悟を持つ必要があります。賢明な選択をするためにも、正しい知識を得ることは必須です。本書は中立的な立場から、新エネルギーの基本、具体的な発電のメリット・デメリット、さらには未来のエネルギーのあり方までをコンパクトにまとめています。一人でも多くの方に手に取っていただき、建設的な議論のお役に立てればと願っています。

真鍋裕子(まなべ・ゆうこ)

 1997年慶應義塾大学理工学部卒業。銀行系シンクタンク、総合エネルギー会社(ESCO)を経て、2006年大和総研入社。産業コンサルティング部などを経て、2011年より現職。担当はエネルギー問題、気候変動問題など。

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