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長~く使える極上のPCケース2012 第1回

長~く使える極上のPCケース2012【アンテック編】

2012年07月23日 11時00分更新

文● 加藤 勝明

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軽量化しつつも強度と制振性を確保
メンテナンス性の高さもバッチリ

 単純に人気シリーズのいいとこどりをしてみました、で済ませてないのがこのケースのよいところ。P18xでは側板などが異常なまで重厚に作ってあったが、本製品ではややベクトルを変えている。側板をスチールにポリカーボネートの内張りにすることで軽量化しつつも強度と制振性を確保している。

側板に防振ゴムを貼った製品は結構多いが、ポリカーボネートを貼ったのを見たのは(個人的には)初めて。ただこの手の内張りは接着剤が経年劣化しやすく、しばらく使うと反り返りながら剥がれるものが多い。P280ではどうなのか、そこだけが気になるところだ

背面と天井には120mmファンが合計3つ。写真では見えにくいが、天井ファンのすぐ下にATX12V系の補助電源ケーブルをマザー裏から引き出す穴が“大きめに”とってあるのが個人的に一番嬉しい

背面と天井ファンの回転速度は個別に回転数を2段階(600または1200rpm)で調整できる。ファンの電源は内部の小基板から取得するが、CORSAIR「CWCH100」のようなファン2基分の大型ラジエーターを装着する際には、この基板を外さないといけないのがちょっと残念なところだ

フロントのエアフィルターを外してみたところ。フロントの吸気ファンがないためベイの冷却が心配になるが、昨今のSSD人気の高さを考えれば、むしろなくて当然という気さえしてくる

 P280の本領は拡張性とメンテナンス性の高さにある。最近のPCパーツはどんどん静音&省電力志向になってきたので、こちらの要素がPCケース評価の主軸になりつつある。
 P280はその点基本はしっかりしている。大きく切り取られたCPUカットアウト(約140×220mm)に310mmクラスの超大型ビデオカードも収容可能な大きさに加え、ワンタッチ着脱が可能なエアフィルターなどの守りの要素もしっかり確保している。
 トレイにドライブを1台1台ネジ留めするドライブベイは好みが分かれるところだが、着脱時にマザーに干渉しにくいよう横向きにベイが設置されているところは評価したい。

XL-ATX対応なので内部も広々。さらにマザー裏の空間が20mm強確保されているため、24ピンのATXメインケーブルでも楽に裏側を通せる。少々見にくいが、シャーシ部分には結束バンドを通す穴が6つあり、裏に回したケーブルをまとめやすくしてあるのも評価すべき工夫だ

電源を下に配置する場合、電源のファンをどちらに向けるか悩むところだが、P280ではファンを下向きにするのが正解なようだ。エアフィルターは、ケースの側板をつけたまま、内部に指一本触れずに取り外して洗浄できるのは嬉しい

ドライブベイは横向きに6つ。専用トレイにネジで固定する必要があるのだが、どのトレイも2.5インチ対応のネジ穴があるのはうれしい。このPCケースならSSD6台でRAIDという男のロマンも美しく組み込める

実測で、長さ約320mmまでのビデオカードを搭載可能。ケーブルを裏側に配線できるため内部空間を広めに使える

 P18xで見せたマニアの心を揺さぶるような作りが消えたのは残念だが、PCケースでのマニアックさというのは両刃の剣どころか、逆に製品寿命を縮めてしまいかねない要素だ。
 その点P280は汎用性が高く、どんなパーツで組んでも無理なく組み込める安心感がある。P18xの発展後継モデルとは考えず、使い勝手を重視した製品として捉えた方が、この製品の本質を正しく掴めることだろう。

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