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Apple Geeks 第85回

iPhoneで「Music Unlimited」を楽しむ

2012年07月20日 10時00分更新

文● 海上忍

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AirPlayに対応、しかしUIは?

 Music Unlimitedの利用には、Sony Entertainment Network(SEN)のアカウントが必要になる。アカウントはSENのウェブサイトから取得でき、この作業自体はMacとiPhoneのどちらで行なっても構わない。現在、初回30日間無料のキャンペーン中だが、支払い用のクレジットカードの登録は必須だ。

iOS版「Music Unlimited」のホーム画面。サービスの利用には、SENのアカウント登録が必要

 これでアプリを起動すれば、好みの音楽を聴き放題……となるが、まずはMusic Unlimited特有の機能について説明しておきたい。それは「学習機能」だ。

 Music Unlimitedには「チャンネル」と呼ばれる領域があり、そこでは音楽のジャンル(ex. ジャズ、ロック、ラップ)や年代(ex. 1950年代、1980年代)など、さまざまな分類が行なわれている。これをタップすると、Music Unlimitedの判断により再生される曲が決まるという、一種のレコメンデーション機能だ。

 曲の再生が始まると、アートワークの下に4つのボタンが表示される。学習機能に関係あるのはそのうち左から2つ、ハートボタンと破れたハートボタンだ。前者をタップすれば好みの曲、後者をタップすれば苦手な曲と学習され、以降再生される曲の選定に反映される。これを繰り返せば学習効果が生じる、つまり聴けば聴くほど自分好みの曲がかかる可能性が高くなるというわけだ。

「チャンネル」の再生中にハートボタンをタップすると、その曲が好みだと学習され、以降の曲選択に反映される

 iOSアプリ独自の機能としては、AirPlay対応が挙げられる。もちろん音声の送出先にはApple TVを指定できるが、Music Unlimitedは音声のみのサービスなだけに、特にメリットとは考えにくい(HE-AAC 48kbpsの音をS/PDIF経由でステレオセットに出したところで……)。むしろ、現状製品数は多くないものの、AirPlay対応のステレオ/スピーカーからカジュアルに音を出せることのほうがメリットは大きい。ソニーも米国ではAirPlay対応製品を拡充しつつあるので、今後に期待したいところだ。

iOS版アプリはAirPlayに対応、Apple TVやAirPlay対応AV機器に音声を出力可能だ

バックグラウンド再生に対応、他のアプリに切り替えても音楽の再生を続けることができる

 気になったのは、UIに“小気味よさ”が足りないこと。「チャンネル」を聴いているぶんには特に気にならないが、マイライブラリーをブラウジングするときには、アルバムアートワークを表示し終えるまでに“ひと呼吸”が必要となる。アーティスト名や曲名で選曲しようと思っても、スクロールバー付近にアルファベットが表示されていないので、ひたすらスクロールを繰り返すしかない。

 多くのiOSアプリで「お約束」といってもいい、画面下へのボタン類の配置がないのもいかがなものか。たとえば、マイライブラリーで曲を再生中にホーム画面へ戻ろうとすると、曲名の左横にあるボタンをタップして曲選択画面へ戻り、画面右上のボタンをタップすると現れるホームボタンをタップする、という手順を踏まなければならない。

曲を再生しているところ。画面下にボタンが配置されないなど、一般的なiOSアプリとは操作体系が少し異なる

ホーム画面に戻るには、ボタン類を表示するボタンをタップする、という手順を踏まねばならない

 ほかにも、HE-AAC 48kbpsの音には納得できないという向きは多いだろうし、そもそも自分好みの曲がないので興味がわかない、という意見もあるはず。結局のところ、サービスの質(好みの曲の有無と曲数、サポートされる端末の数、音質)と1400円/30日という価格を天秤にかけ、コストパフォーマンスはどうなのかという話になるはずで、そうなると日本のアップル製品愛好者に評価されるかどうか……。筆者の場合、好みの音楽がそれなりにカバーされているので、しばらくメンバーでいるつもりだが、なにかもうひとつ「サムシング」がほしい、というのが本音だ。



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