マイクロソフトは、次期Officeのカスタマプレビュー版(「Office カスタマー プレビュー」)を2012年7月17日(日本時間)に公開した。
詳細は他稿に譲るが、このカスタマープレビュー版は、Windows 8でいえばコンシューマープレビュー版にあたるもの。個人向けの「Office Professional 2013 プレビュー」、中小企業向けの「Office 365 Small Business Premium プレビュー」、エンタープライズ向けの「Office 365 ProPlusプレビュー」「Office 365 Enterpriseプレビュー」で構成されている(関連記事1、関連記事2)。
またユーザーが生成したデータは、デフォルトで「SkyDrive」および「Skydrive Pro」(現「SharePointオンライン」)といったクラウド上に保管されること、Windows 8に最適化した操作環境を実現していること、エンタープライズ向けSNS「Yammer」により企業向けに安全にプラベートなソーシャルネットワークを提供することに加え、Skypeアカウントを持っている誰に対しても、Officeを利用して電話をかけたり、メッセージを送信できたりするようになる。
世界的な箝口令を実施
米国サンフランシスコでは、7月16日(米国時間)に、米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO自らが、次期Officeのカスタマープレビュー版を正式発表。「これはマイクロソフトにとって大きな一歩。このクラウドサービスと統合した新たなOfficeは、これまでになく革新的で、柔軟なワークスタイルを提供するとともに、Windows 8との組み合わせにより、最大化された価値を提供する」とコメントしている。
日本でも報道関係者に向けて、7月17日に説明会が開催された。東京・品川の日本マイクロソフト本社で行なわれ、正式製品の発表ではないにも関わらず、約120人もの報道関係者が訪れるという盛況ぶりを見せた。会場は満席となり、椅子席を急きょ追加する状況となった。
だが、これには理由がある。
日本の報道関係者に向けて配布された通知には、「今後市場投入予定の新製品に関する説明」とされており、次期Officeという言葉はどこにもない。実際、何が発表されるかは分かりにくいというものだった。
会見場では、「Windows 8に関する新たな発表かと思った」「何かしらのロードマップが発表されるのではないか」「Surfaceに関する内容ではないか」といった報道関係者の声が聞かれていたが、通知にあった日本マイクロソフト側の説明者が、Officeビジネス本部長のロアン・カン業務執行役員となっていたことをみればおおよその予測はついたともいえる。いずれにしろ、予想以上に報道関係者を呼ぶことになったのは間違いない。
では、日本マイクロソフトはなぜこんな表現としたのか。
実は、会見通知が報道関係者に配布されたのは、カナダ・トロントで開催された全世界のパートナーを集めた「Worldwide Partner Conference」の直前。同カンファレンスでは、Windows 8の発売時期や、RTM(Release to Manufacturing)が8月第1週に完成することなどが発表されたが、次期Officeについてはまったく言及されなかった。マイクロソフトでは、最初からそれに触れる予定はなかったのだが、Officeに関する説明会が行なわれるという報道関係者向けの通知がでれば、カンファレンス会場でも当然それが話題になる。
そんな状況を避けるために、同カンファレンスが終了するまでは、対外的な通知などに「Office」の文字を表記できないという世界的な箝口令が敷かれていたのだ。

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