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4億円の赤字でも、ニコニコ動画が「会議」イベントを続ける理由

2012年07月18日 21時44分更新

文● ASCII.jp編集部

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地方を伸ばしていくための「町会議」

 そんな「超会議2」と同時に発表したのが、「ニコニコ町会議 全国ツアー」だ。

 今年の7月29日~8月30日、ニコニコ動画のラッピングバスが九州から北海道まで、全国5ヵ所のお祭りをまわり、屋台を出す。「踊ってみたレッスン」「ユーザーマーケット」などニコニコならではのイベント、「観光協会の会長が歌ってみた」「方言レッスン」といった地方のPRイベントを共同で開催する。そしてその様子をネットで生中継する。

 そのねらいは「超会議」とは異なるものだ。

ニコニコ町会議 全国ツアー

 「日本における『一般化』は地方と年齢、それを同時解決できる」

ドワンゴ・夏野剛取締役

 ドワンゴ・夏野剛取締役はそう話す。夏野氏がこれまでもたびたび課題として挙げてきたのが、この「一般化」だ。日本では東京や神奈川、アジアでは台湾など、都心の若者を中心に人気を高めているニコニコ動画だが、地方、そして高齢者層にはあいかわらず弱い。

 「鳥取のユーザー数は香港に負けてるんですよ。香港が9万人で、鳥取は8万人。台湾には完敗」(夏野氏)

 そんな地方格差を打開するため、ドワンゴは去年も「ニコニコ大会議 全国ツアー」という形で地方イベントを開催していた。去年と違うのは、大会議ツアーがただ場所を借りてイベントを開くだけだったのに対し、町会議は地方自治体の協力を得て展開していくところだ。

 自治体には集客のためのPR手段としてニコニコ動画を使ってもらい、自分たちは地方に営業をかけるための入り口にする。イベントが成功すれば、ドワンゴ・自治体のどちらも得をする仕組みだ。開催地は、佐賀県呼子町、北海道長万部町など、規模が小さい「町」に設定した。

 お祭りに“相乗り”する形のため、入場料はもちろん無料。今回もイベントとしては赤字の見込みだが、地方の新規会員が少しでも増え、自治体から「来年もやって!」という要請が来れば大成功、というのが「町会議」のねらいとなっている。

「町会議」は鳥取、佐賀、北海道、福島、八丈島(東京)の5箇所で展開

それぞれの町の伝統ある夏祭りに“相乗り”する形で開催する

神社を模したラッピングカーをメインに、ニコニコで人気の「自作ゴム銃」による射的コーナー、ユーザー主導のフリーマーケットといったイベントを展開。同時に地方をPRするイベントコーナーを設け、地方と足並みをそろえて展開する

ぽこた、ゆうこりん、百花繚乱といったニコニコ動画の有名ユーザーもイベントに参加。お祭りを盛り上げる

話を持ちかけられた観光協会は「悪い勧誘だと思ってました」とのこと

「ニコニコ町会議 全国ツアー」開催予定地

7月29日(日) 鳥取県 八頭町 「きらめき祭」
8月5日(日)  佐賀県 唐津市呼子町 「水光呼子港まつり」
8月11日(土) 北海道 長万部町 「飯生神社例大祭」
8月16日(木) 福島県 三春町 「三春盆踊り」
8月30日(木) 東京都 八丈島(八丈町) 「離島甲子園」

http://www.nicovideo.jp/chokaigitour

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