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ストレージ仮想化ソフトウェアの新バージョン登場

拡張性や管理性を強化したデータコア「SANsymphony-V R9」

2012年07月05日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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7月4日、データコア・ソフトウェアは“ストレージ・ハイパーバイザー”製品の最新バージョン「SANsymphony-V R9」のリリースを発表した。パートナー各社経由で同日販売開始される。

IaaSのストレージインフラに必要な機能を実装

 データコア・ソフトウェアの「SANsysmphony-V」はマルチベンダー対応のストレージ仮想化ソフトウェアで、x86サーバー+Windows Server上で稼働するソフトウェアパッケージとして提供される。同社では同製品をサーバー仮想化のハイパーバイザーと同様の役割をストレージに対して提供する、ということから“ストレージハイパーバイザー”と表現する。

データコア 手塚 弘章氏

 同社の手塚 弘章氏は、クラウドやビッグデータに注目が集まっている市場の現状を踏まえ、求められるストレージ像として「必要な時に必要な要件拡張ができる」「必要な時に最適な投資で拡張できる、投資資産がムダにならない」「データ移行のようなストレージ運用が確実、リスクなく、システム全体に影響与えず実行できる」「将来にわたり運用が変化せず、システム全体の運用管理ができる」「確実にデータ保護ができる」といった条件を挙げた上で、こうした条件を満たすのは「ハードウェアの制約を受けない、運用も制約されない“ハイパーバイザー”型ストレージ」だとした。

SANsysmphony-Vのアーキテクチャ

 最新バージョンとなるR9では、「大規模なストレージ環境への対応」「管理・運用性の向上」「I/Oの可用性レベルの選択肢を強化」「他社製品との連携」の4分野での強化がポイントとなっている。大規模環境への対応では、仮想化コントローラー(DataCoreサーバ)2台のHA構成がサポートされていたのに対し、“N+1 Redundant Gridアーキテクチャ”に基づいて最大4台までの構成が可能になった。今後の機能拡張ではさらに8台までに拡張される計画だという。また、従来は1対1の構成のみサポートしていたリモートレプリケーションは「1拠点から複数拠点への転送」「複数拠点から1拠点への転送」が新たにサポートされた。

N+1 Redundant Gridアーキテクチャ

 管理・運用性の向上では、ヒートマップ表示やリソースリバランスの機能が強化された。他社製品との連携では、VMware API for Array Integration(VAAI)のサポートやVMware vCenterのインテグレーションが実現したほか、Microsoft System Center Operations Manager Plug-inやHITACHI IT Operations Analyzer Plug-inも提供される。価格は、5TBまで管理できる最小規模ライセンスで43万2000円から。

ソフトウェア実装ならではの魅力

 SANsymphony-Vでは、ストレージハードウェア側に組み込まれた機能はほぼ使わず、あたかも単なる裸のHDDであるかのように扱うため、ストレージデバイスごとに稼働確認を行なうといった発想がそもそもない。プラットフォームとなるWindows Serverが認識できるストレージデバイスであれば、どのようなハードウェアでも問題なくストレージプールを構成できる。ホストに対しては、ストレージプールから適宜容量を切り出して仮想ディスクとして提供する。このとき、シンプロビジョニングや自動階層化、同期ミラーリング、非同期リモートレプリケーション、ロードバランスといったさまざまなストレージ機能をすべてソフトウェア側で実装している点が特長となる。

 高機能/高価なストレージハードウェアを組み合わせるのではなく、容量/パフォーマンス重視でストレージを選択し、自由に組み合わせて全体をプール化する際にメリットが大きい。サーバグループが4台までに拡張されるなど、より大規模なストレージインフラを構成できるようになったことで、IaaSなどのストレージインフラを構築するようなニーズに対する対応能力が強化されており、従来の中小企業ユーザーに加えてIaaSクラウドサービス事業者や企業内プライベートクラウド構築/ビッグデータ向けストレージ基盤などの市場への浸透も目指していくという。

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