7月3日、日本マイクロソフトは新年度のスタートに当たっての経営方針説明会を開催した。ここ数年恒例となっているもので、6月末で終了した2012年度の総括と7月からの2013年度の取り組みについて樋口社長が語った。
“本格始動”の成果
同社の最高執行役 社長の樋口 泰行氏は、2008年の就任からの3年間(FY09~FY11)で日本法人社内の改革を実施した。その内容について同氏は、「本社が米国にある日本法人なので、改革といっても“事業戦略そのもの”“事業の選択と集中”といった改革や、“バランスシートの改革”ということではなく、本社の事業戦略に沿った形で、いかに本社との連携をスムーズに持つか。いかにローカルにフィットした実行戦略を策定するか、そしていかに効率的に実行できるか、そういう組織を作るか、ということが改革の骨子であった」と説明した。その成果は早くも2011年度(FY11)に全社内で“No.1 Country”に選出されるという結果につながった。社内表彰ではあるが、売上だけではなく30項目近いKPIに基づく成績評価の結果だという。
FY12の実績については、「3年連続予算達成」「先進国の中でももっとも高い成長率を実現」といった状況だといい、2年連続のNo.1 Country受賞に期待しているという。過去3年で一通りの社内改革を達成し、さらにその成果について確固たる評価を得たことで、FY13に向けた戦略は、基本的にはFY12と同じという形になっている。なかでも、重視される取り組み分野は「デバイス」で、年内にも次期Windowsとなる“Windows 8”がリリースされる予定であることから、同氏は「Windows 8で日本を元気に!」というメッセージを掲げ、Metroアプリ開発者の支援などに取り組むとした。ただし、デバイスということで注目される同社製タブレット端末“Surface”に関しては「現時点では何もコメントできない」とのことだった。
Windows Phone 7に関しては、国内では1キャリア1モデルの投入に留まっているが、リリース時点で3万だった対応アプリは現在では10万に増加しており、ユーザーからの評価も高いとして今後の展開に自信を見せた。次期“Windows Phone 8”も発表されており、Windows 8を軸にスマートフォン、タブレット端末、PCの全てで共通するユーザーインターフェイスを提供できる環境が整いつつある状態だ。日本国内では法人向け市場やクラウドサービスが順調に成長していることもあり、FY13ではコンシューマデバイスの分野でまたマイクロソフトの存在感が高まることになるという期待も持てるだろう。