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最新ヘッドホンでミュージック・ライフを向上しちゃおう! 第2回

日・独・米の人気メーカーに聞いたヘッドホンのこだわり!

2012年07月03日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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密閉型にポータブル型!
コンデンサー型もバリエーションは多かった!!

ハウジングが丸い「SR-009」(左)。駆動には別途右のようなドライバーユニットが必要

 スタックスのモデルには、大きくわけると、ハイエンドシリーズと呼ばれる丸形のハウジングを使った「SR-009」(実売価格36万8000円前後、別途ドライバーユニットが必要)があり、四角形のハウジングの「SR-507」(実売価格7万3000円前後)、同じ四角形のハウジングを採用した「SRS-4170」(実売価格14万円前後、 ドライバーユニットSRM-006tSとのセット)などがある。

5芯の独自ケーブルを採用しているのも同社製品の特徴だ

5芯の独自ケーブルを採用しているのも同社製品の特徴だ

 SR-009は発音体自体も異なる最上位モデルだが、SR-507とSRS-4170/3170/2170は発音体などの基本はまったく共通だそうだ(SR-507はヘッドバンド部などが一部異なる)。大きな違いと言えるのは、ドライバーユニットと接続するケーブルの材質だという。

 目黒:「スピーカーケーブルによる音の違い以上に、接続ケーブルの材質で音は変わりますね。ヘッドホンは発音体が耳に近いので、違いもより敏感に出ると思います」

 ケーブルによる音の違いは、科学的な裏付けがないためにそれを強調するとオカルト扱いされてしまう分野でもある。だが、オーディオは違いがわかるかどうかというより、自分がいいと思うかどうかが重要だ。

 違うと思う人は、じっくりと聴き比べて自分の好みに合うモデルを選べばいいし、そんなことはないと思う人は、もっとも安価なSRS-2170を安心して手に入れればいいだけの話だ。

 なお、線材の違いに興味のある人に付け加えておこう。一時、オーディオ界でも純銀ケーブルが流行したが、純銀は高域の特性に優れる反面、低音の力感が出ない傾向になるそうだ。

 そのため、スタックスでは6N銅に純銀をコーティングした線材を高級機に採用している。表皮効果で高域の信号は線材の外側を伝わり、低域の信号は線材の中心を通るため、高域、低域ともに優れた音質効果が得られるという。ちなみに、純銀をコートした銅線の採用は、デジタル信号ケーブルやスピーカーケーブルでも流行している。

過去には密閉型やポータブルタイプも……

 現在は、このようなラインナップだが、過去のモデルを振り返ると、なかなかにユニークなモデルもあった。

とてつもなく薄い振動膜

とてつもなく薄い振動膜

 面白いのは密閉型モデル。コンデンサー型は振動膜がとても薄いので(1.5ミクロン。サランラップの1/10ほどの薄さとのこと)、発音体の後ろ側を塞いでしまうと、空気の圧力に負けて音が歪んでしまいやすい。

 しかし、ある方面から密閉型を作ってほしいという声があり、かなり苦労して開発したが、かなり高価になってしまい、現在では発売を終了している。

 目黒:「価格が高くなっただけでなく、かなりのハイパワーで聴く業務用として作ったこともあって、民生用はうまくいきませんでしたね。ところが、買ってくれたユーザーによると、慣れると密閉型が一番いい音がすると言ってくれますよ」

 そして、もうひとつがなんとポータブル型。形状はヘッドバンドが付くのでオーバーヘッド型に分類されるが、ハウジングはかなり小さい。電池駆動に対応した専用のドライバーユニットと一緒に使うスタイルだ。

 目黒:「コンデンサー型の音を屋外でも使いたいという声に応えて作りました。発音体が耳に近づくので、振動膜が小さくても十分な音量が得られます」

 このタイプは、「SR001」と「SR001MK2」があった。18年前の発売当時はプレーヤーもカセットやMDだったし、さらにドライバーユニットまで持ち歩くのはぜんぜんポータブルじゃないと思ったものだが、今や小さくなったプレーヤーに加えて、ポータブル型のヘッドホンアンプを組み合わせて使うスタイルも増えてきている。

春のヘッドフォン祭り2012で同社が参考展示していたポータブル型のヘッドホン。型番は「SRM-002」となっている

春のヘッドフォン祭り2012で同社が参考展示していたポータブル型のヘッドホン。型番は「SRM-002」となっている

 時代が追いついてきたと思うし、当然ファンからの要望もあって、今年再び発売されるそうだ。ファンはぜひ期待したいところ。

 スタックスには筆者自身が思い入れもあり、楽しい話をたくさん聞かせてもらった。なかでも興味深かったのは、スタックスのヘッドホン(SRS-3170)が今もとあるテレビ局に納入されていること。

 目黒:スピーカー時代にコンデンサー型ツイーターを納入していたこともあり、その流れで今もヘッドホンを納入しています。ただし、何を聴いているのかは教えてくれません。音楽以外を聴いているんだと思います(笑)」

 つまり、研聴用というわけだ。筆者が想像するに、放送で使う電波に乗ってくるさまざまなノイズを聴いていると思われる。コンデンサー型ヘッドホンを作っているのがスタックスだけのため、海外からの問い合わせもあるとのこと。

 音楽信号とはなんの関係もないかもしれないが、コンデンサー型ヘッドホンでないと聴こえない音があるのは確かなようだ。音のよさの根拠としては説得力が低いとはいえ、なんとなくコンデンサー型ヘッドホンを愛用している筆者は、その性能のよさの一端がわかってうれしく感じた。

 目黒:うちの製品を買ってくれるお客様は、たいていほかのヘッドホンも持っていて使い分けているようです。ヘッドホンはこれが一番ではなく、曲や気分に合わせて使い分けられる。それがいいところだと思います。

スタックスの試聴室には過去の製品も保存されている

スタックスの試聴室には過去の製品も保存されている

 スタックスはダイナミック型のヘッドホンとはまるで違う音がするが、決して最優秀ではなく、苦手なところもある個性派の代表と言ってもいい。そんなところも、熱心なファンの多い理由だろう。そして、筆者はかなり驚いたのだが、ハイエンドモデルである約37万円のSR-009のユーザーのうち、一番多いのは30~40代だそうだ。

 筆者はもっと年配のお金持ちな人が多いと思ったが、オーディオ熱は30~40代の世代が最も高いのではないだろうか。目黒氏は、「一番お金のかかる時期なのに、こんな高いのをよく買うな」と笑う一方で、「たくさんの若い人に買ってもらえるなら、発売してよかった」とも言ってくれた。

 楽しみなポータブル型の復活も含めて、スタックスはこれからもコンデンサー型ヘッドホンを作り続けるだろう。ヘッドホン好きならば、ぜひとも一度はコンデンサー型の音を体験してみてほしい。

次回はスマホ用ヘッドホンをチェック!

 前回は日本の最先端ヘッドホン、今回はアメリカ、ヨーロッパ、そして日本の老舗ヘッドホンブランドを紹介してきたが、本特集での取材はここまで。ほかにもまだまだたくさんのメーカーがあり、筆者的にももう少し回りたい気がする。本特集が好評であれば、さらに取材して記事にしてみたいと思う。

 さて、最終回は今もっともホットなスマートフォン用ヘッドホン。15万円もする高級モデルなど、一部製品をピックアップして音質をチェックしてみた。今回時間の都合で取材できなかったあの有名なヘッドホンメーカーの製品も登場するので、ぜひチェックしてほしい。


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