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スマホサイト検索最適化の注意事項:通常Googlebotをスマホ版サイトでリダイレクトしてはならない

2012年07月02日 07時22分更新

記事提供:SEMリサーチ

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デスクトップ版サイトとスマートフォン版サイトを運用しており、後者を検索エンジンにも適切に掲載させたい、いわゆるスマートフォンの検索最適化を行う場合において、現時点(2012年7月1日時点)においてGoogle公式ヘルプには明記されていない、重要な注意事項について1つ紹介しよう。

デスクトップ版サイトとスマートフォン版サイトのコンテンツを問わず、両者を異なるURLで運用している場合、かつ、双方向リダイレクトをページ単位(リダイレクト先が、特定デバイス向けトップページではなく、アクセスを試みたコンテンツの特定デバイス版ページになっている。1:1リダイレクト)で行っている場合に該当する。

まず最初に、上記ケースにおける必要な最適化とリダイレクトについてまず整理しよう。

スマホサイト最適化の要件(別URLで管理、双方向リダイレクトの場合)

  1. デスクトップユーザー("通常Googlebot"(default-Googlebot)含む)のリダイレクト処理
    デスクトップユーザーにはスマホ版ではなくデスクトップ版を見せたい。従ってデスクトップユーザーがスマホ版URLにアクセスした場合はUser-Agent検出等により、アクセスを試みたURL(のコンテンツ)に相当するデスクトップ版URLに301または302リダイレクトで転送する。Googleはクローラについて「ユーザーと同等の扱いをすること」を公式に促しているので、"通常Googlebot"がスマホ版にアクセスしようとした際も該当するデスクトップ版URLに転送する。
  2. スマホユーザー(スマホ向けGooglebot含む)のリダイレクト処理
    スマホユーザーにはデスクトップ版ではなくスマホ版を見せたい。従ってスマホユーザーがデスクトップ版URLにアクセスした場合はUser-Agent検出等により、アクセスを試みたURLに該当するスマホ版URLに301または302リダイレクトで転送する。スマホ版Googlebotがデスクトップ版にアクセスしようとした際も先に述べたルールに従い、スマホ版URLに転送する。
  3. デスクトップ版とスマホ版サイトの関係性を明示
    2012年6月に発表された、rel=”alternate”とrel=”canonical”アノテーションを利用して、デスクトップ版サイトとスマホ版サイトの関係性を検索エンジンに伝える。デスクトップ版ページそれぞれにrel=”alternate”タグを記述し、ページごとに対応するスマホ版ページのURLを書き込む。逆に、スマホ版ページそれぞれにはrel=”canonical”タグを記述し、ページごとに対応するデスクトップ版ページのURLを書き込む。
    この双方向アノテーションにより、Googleは両バージョンの関係性を理解し、両者は(異なるデバイスを想定するが)同等・類似したコンテンツを有する1つのエンティティ(entity)として処理するようになる(canonicalによりインデックスプロパティが統合される)

つまり図に書き起こすと次のようになる。

スマホサイトを検索エンジンに最適化する - 双方向リダイレクトの場合

スマホサイト最適化の要件(別URLで管理、双方向リダイレクトの場合)


"通常Googlebot"は、デスクトップ版/スマホ版 両バージョンをアクセスできなければならない

ようやく本題。ここまで説明してきたように、デスクトップ版とスマホ版サイトを別URLで運用していて、かつユーザーエクスペリエンスの観点から各々のユーザーを自動的に該当バージョンに自動転送させたいと考えるウェブマスターは少なからずいるだろう。また、この条件下において Googleの公式ヘルプの記載に従うのであれば、Googlebotの遷移も青色または赤色のようになる(つまり人間と同等に扱う)よう設定する必要がある。

ところが。米Googleによると、『"通常Googlebot"は、デスクトップ版とスマホ版の両バージョンにアクセス出来ることを推奨する』とのことだ。図に示した通りのリダイレクト設定を行うと、Googleがデスクトップ・スマホ両バージョンの関係性の理解が難しくなるためだ。

なぜ上記設定では関係性が理解できない恐れがあるのか。問題となるのは、青色で示した"通常Googlebot"のリダイレクト処理だ。"通常Googlebot"は、スマホ版にアクセスを試みても301リダイレクトによりデスクトップ版に転送される。それは同時に、スマホ版に記述されている canonical タグを認識することができない、ということでもあるのだ。

※ ちなみにスマホ向けGooglebotは、スマホ版ページに埋め込んである canonical のリンク先(=スマホ版に相当するデスクトップURLを指定)を正常にクロール出来ない。なぜならスマホ向けGooglebotはその指定URLにアクセスを試みても301リダイレクトにより元の(スマホ版)ページに戻されてしまうから。

「いやいや、そのためにスマホ向けGooglebotがあるんじゃないの?」と思われる方もいるだろう。そう考える人は、「PC(デスクトップ向けGooglebot」と「スマホ向けGooglebot」という2つのクローラがあるという前提で考えていらっしゃるのではないかと想像するのであるが、私は本文で「デスクトップ向けGooglebot」とは一切記載していないことに注意してほしい。

現時点(2012年7月)の仕様では、Googleがデスクトップ版とスマホ版の関係性を理解するためには、通常Googlebot(default-Googlebot)は制限なく全てのバージョンにアクセスできることが適切である、ということは覚えておこう。

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私は従来型携帯電話向けサイトの開発にはあまりかかわった経験がないのでGoogleや欧米の発想は違和感なく受け流していたのですが、どうもそうじゃない文化もあるようですし、Google公式ドキュメントには一切記載が(現時点で)ないのでまとめてみました。

もともと社内ドキュメントを精査していた時にふと違和感を感じて調べ始めたのですが、ポイントは canonical の挙動でしょうか。○○○向けGooglebotの存在はどうでもよくて、広くウェブをクロールしている default-Googlebot が canonical を認識できなければ、Googleが推奨した最適化手法は機能しないのではないかと思い、技術的確認をとってみました。

モバイルサイト側での振り分け云々の話は、従来型携帯電話のサイトで普通に行っていた事であり、過去に問題はなかったという方がいるかもしれません。しかし、それは『Googleが従来型携帯電話向けサイト専用の検索サービスを提供している』という日本市場の特殊性によるものです。

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