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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」第98回

人気レーベル『マルチネレコーズ』が完全無料である理由

2012年06月30日 12時00分更新

文● 四本淑三

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最近はリリースよりもイベントのほうが楽しい

―― 先日の風林会館のイベントは大盛況だったようですけど。

Tomad イベントは4ヵ月に1回くらいやっているんですけど、最近だと300以上は絶対、500くらいは来る感じなので。最近はリリースよりもイベントのほうが楽しいです。

6月2日、「歌舞伎町マルチネフューチャーパーク」と題してイベントを開催(略して「カブチネ」)。かつてキャバレーとして使われていた歌舞伎町の風林会館5Fニュージャパンで行なわれた

―― あれっ、そうなんですか?

Tomad リリースも意味はあるんですけど、ネットレーベルを使わなくても、個々のアーティストが直に伝えられる環境が整備されてきている。SoundCloudとかBandCampでリリースできちゃうし、ちょっとコネクションがあればiTunesを使って自分で売れる。少し前まではフリーで出すのは珍しいことだったので、それだけで聴いてくれる人がいたんですけど、今はそう簡単ではなくなってきたなと感じます。

―― そういえば前に比べてリリースのペースは落ちていますよね?

Tomad 落ちています。リリースしていくに連れて、自分の中での満足度のハードルがどんどん上がっていっちゃって。もう100以上出しているんで、それを繰り返していくと、ハードルは相当高いところに。

―― でも、ご自分では言いづらいと思いますけど、マルチネは伝説になっているわけですよ。ブランド化というか。

Tomad 50番(レーベル50作目)でフィジカルリリースをしたんですが、それから以降はブランドというか、面白いことを続けてやっていこうという意識はありますけど。ただイベントは楽しいけど大変です。風林会館も始まってすぐ、もう500人くらい来ちゃって。あそこ古い建物なんで、床が……。

[MARU-050] MP3 KILLED THE CD STAR?

 データ版のリリースと同時にパッケージ版も販売された。中身は32Pのブックレットと、ブランクCD-R、MP3ダウンロードコード。『音源は自分でネットで落として焼いてくれ』という、無料のネットレーベルらしい仕様。ただしブランクCD-Rだけでは店頭販売できないのでMIXCDも付いている。

―― ああ……。主に僕はまわりが怖いというイメージしかないんですが。

Tomad それもあるんですけど、入場規制をかけなければならないので、前に人はたまるし。空間的にはあと200人ぐらいは入れそうだったんですけど、そこで何かあったら日本のクラブミュージックも終わっちゃうなと思って。インターネットミュージックも、もし死者が出たら……。だから結構プレッシャーが強くて、早めに止めてしまったんです。

―― それは良い判断です。入れなかった皆さんは日本の音楽の未来を守ったのだと思ってください。ただ風林会館に500人も集めるなんて、なかなかできることじゃないと思うんですが、ざまあみろと思いません?

Tomad ははは! どこに対してですか? やり始めた当初は若気の至りでそういうノリもあったかと思うんですが、海外の電子音楽系のレーベルの足元にも及んでいないので、まだまだだと思いますよ。

―― じゃあ、何ができたら成功なんでしょう?

Tomad やっぱ、武道館でクラブイベント!

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