荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第257回

サイバーショットとCOOLPIXのGPS機能を使いこなす！

別のカメラで撮った写真にも位置情報をつけられる！

　さらに注目すべきは「GPSログ」機能。GPSを撮影時だけじゃなくて、電源をオフにしているときも常時動かして測位し続ける機能だ。「その日の移動軌跡を記録してくれる」「常に測位しているのでいざ撮影するときの測位が早くなる」というメリットがある。デメリットはバッテリーの減りがやや早くなること。

　GPS付の高倍率ズームといえども、コンデジはコンデジなので、10万円クラスのデジタル一眼に比べると画質やAFの速さや精度、連写性能なんかでやっぱり差が出る。だからいいシーンはデジタル一眼でも撮っておきたい。

　でも、GPS搭載のデジタル一眼は少ない（オプションで対応している一眼レフもあるけど全体としては少ない）。

　そんなときはGPSログの出番なのだ。GPSログには「何年何月何日何時何分何秒にどこにいたか」が記録されている。デジカメのGPSログ機能はまだまだ専用機に比べると粗いけど、およそ1分単位での場所はわかる。

　GPSを持たないデジカメでも写真には撮影日時が何時何分何秒まで記録されている。つまり、両者をつき合わせればあとから撮影場所を追記できるのだ。

　かくして、別のカメラで撮った写真にも位置情報をつけられるのである。

　こんな感じでその日の移動経路を貼り付け、そこに写真を割り当てるのだ。半自動的にやってくれる。私の知る限り、Appleの「Aperture 3」とAdobeの「Photoshop Lightroom 4」がこの機能を持っているし、オンラインソフトにもそれを行なってくれるものがある。

ApertureにHX30Vで撮ったGPSログを貼り付け、別のカメラで撮った写真にも位置情報をつけてみた。赤いピンがその日に撮影した場所（本文掲載写真のすべてがこの地図エリアで撮影されたわけではありません。為念）

いい写真なんだけど、ピントが後ろに抜けてしまったー。最近のコンデジは高性能になったけど、たまにこういうことはある（2012年6月 ニコン COOLPIX S9300）

同じ場所で、オリンパス「OM-D」で撮った写真。まがりなりにもハイエンドモデルだけあってコンデジとは画質がワンランク違う。位置情報はあとからApertureを使ってつけてみた（2012年6月　オリンパス OM-D E-M5）

　今はまだGPS搭載デジカメは少ないし、搭載するGPS機能も専用GPS機に比べると弱いけれども、いずれ、写真を撮ったら撮影場所が記録されるってのがポピュラーになると私は思っております。少なくともスマホではそうなってるし。

　ちなみに、掲載写真からは位置情報を抜いてありますのでご了承を。どこに猫がいた、っていう具体的な位置情報には少々デリケートな部分もありますゆえ。

筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイ ン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩で、天気がいい日は自転車で都内を走りながらネコを探す日々。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい！』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』（ソフトバンク新書）。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/