厚みのあるリッチな映像が個性的
映画を満喫したい人なら大満足の三菱「HC7800D」
三菱電機の「LVP-HC7800D」(実売価格30万円前後)もエイサーと同じくDMD素子を使用したDLPプロジェクター。3D対応に合わせて、独自の高速シャッター液晶メガネを使用し、クロストークやチラつきなどを低減している。
さらに本機は、フルHDの解像感を再現するため高性能ED(超低分散)レンズを採用するなど、画質の実力を高めている。
映画などの24コマ表示のソースでは、4倍速となる96コマ表示で「FRC」(フレーム・レート・コンバーター)によりフィルムソースで目立つ不自然なガタつきを抑えるなど、映画再生にこだわった機能も数多く搭載している。
設置について一番苦労させられたのが本機。レンズシフト機能の調整の幅が少ないため、基本的にプロジェクターの設置位置をきちんとスクリーン正面に合わせる必要がある。このあたりは、レンズシフト機能による画質劣化を嫌ったためだろう。
後で述べる画質も含めて、本格的なAVシアター指向が強いため、プロジェクターの初心者にとっては少々手強い面があると感じた。
画質がこれまた本格的というか個性的。標準的な画質モードでの映像は少々暗い。ほかの機種と比べてしまうと、シネマモードかと思えるほど明るさには差を感じた。これは、基本的に暗室で使うことを前提にした画作りであることも理由だろう。そのため、コントラスト感や暗部の再現性はかなりのもので、DLPらしい締まった黒の再現や薄暗いシーンの見通しの良さでも実力の高さがよくわかる。
本機が最大の魅力を見せるのは当然映画。暗いシーンはもちろんだが、微妙な色の再現が豊かで、単純に色が濃いというのではなく、豊潤な色の再現と感じる。人の肌の再現もリアルなもので、失礼ながら(ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコルのトム・クルーズは)さすがに年をとったなぁ、とわかってしまう。
それだけに、連続する超人的なアクションでさらに驚かされるわけだ。解像感についても、決して甘いというわけではないが、カリカリの高解像度ではなく、ある意味ブラウン管のテレビのような柔らかい感触になる。固定画素プロジェクターでこうした再現というのはかなり個性的。
3Dゲームもかなり映画的なムードになる。プレイ場面では視認性が劣るというほどではないが、ややソフトな感触。ジャギー感などのCGっぽさも薄まるので、映画的に楽しみたい人とは相性がいいだろう。
テレビ放送も画質調整である程度は合わせられるが、基本的にはテレビ的なクッキリ・ハッキリとは傾向が異なってくる。このあたりは好みがはっきりと分かれそうだが、そもそもプロジェクターとは、映画などの特別なコンテンツのためのものと割り切って使うならば、この魅力はかなりものと言える。映画のために大画面を手に入れたいという人には一番の候補となるだろう。
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