山寨機の主流はスマホからタブレットに!?
最近は中国でも日本のように、1~2年の“キャリア縛り”によるスマートフォン無料キャンペーンがはじまった。そうなると山寨機をほしがる人はうんと減る。中国の携帯電話メーカーからもiPhoneもどきが出たこともあり、ciphoneは失速した。華強北ではスマートフォンや携帯電話関連ショップの勢いが減速していく代わりに、山寨機のタブレットを扱う店が登場している。
iPadのリリース時には、華強北の謎のメーカーが日本の町工場のように本気を出し、本家がリリースされる前にそっくり製品をリリースした。そのときの様子は中国のIT系メディアに結構紹介され話題となり、例えば初代iPadは2010年1月に発表、4月に発売されたが、4月に華強北で何種類ものiPadもどき、もといAndroidタブレットが発売されていた。最長でも3ヵ月で似たようなモノを作り上げたということだろうか。
スペックについてはiPadがXGAに対し山寨機はSVGA、CPUは不明でiPadより体感速度はずっと遅い。センサー搭載で縦横表示に対応し、重さは320gとiPadの半分程度。
値段は当時で2000元(約2万5000円)を切っていた。メーカー製Android搭載タブレットで最初期に登場したGALAXY Tabですら同年9月に発表されたのだから、おそるべきスピードでニセモノが登場したといえる。
今では7型タブレットは300元(約3750円)強が相場だが、「240元(約3000円)」という卸値近い価格で売る店もまれにある。
初代iPadの登場をうけて模倣するにも、まったく新しいタブレットをデザインする必要がある。CPUなどのパーツを集めてくっつけるのとは別に、ガワ用の金型の作成が必要となるが、これをやりのけたわけだ(基板のデザインもあるだろうが、スマートフォンよりもずっと大きく、スマートフォンも作ってきただけに難しくはないだろう)。
実際、現在の中国の金型技術だが、日本国内の定年退職した技術者が中国や海外に出ていて、日本人指導者がいる会社も多数あり、データを入力して加工できるものに関しては、いいものが作れる状況となっている。
では現在彼らが作れる、最高の山寨機とは何だろうか。
現在売られている山寨タブレットでスペックをアピールしているものでは、「デュアルコアのARM Cortex-A9 プロセッサ1.6GHz」ないし「MediaTekのデュアルコアプロセッサ MTK6575 1.5GHz」「9.7型(XGA)IPS液晶」「内蔵32GBメモリー」あたりだ。
バッテリー容量は「外付けバッテリーでよい」派と「大容量は必要ない」派により、長時間バッテリー稼働をうたうタブレットは見たことがない。いずれも複数の工場がこれらを搭載した製品をリリースしていることもあり、容易に入手できると思われる。今Surfaceもどき「Sueface」が出るとすれば、ガワは本家に似せた上でスペックは上述した程度が上限となるだろう。
深センの名のあるOEM元では、「深セン広訊通」というメーカーがiPad 2よりもさらに薄いことを売りにしたWindows 7搭載タブレットPC「Eking T9」をリリース。スペックはタブレット向けプロセッサ「Atom Z670(Oak Trail, 1.5GHz)」「2GB DDRメモリー」「9.7型(XGA)IPS液晶」「32GB/64GB/128GB SSD」で、値段は3680元~(約4万6000円~)となっている。
「Surface」似の中華タブレットは見た目もゴージャス!?
同社は韓国のyukyung社と共同でUMPC「viliv」(日本ではBRULEが代理店)を開発したこともありタブレットに強いが、こうしたメーカーが「Surface」のような中華タブレットを出してくるなら、さらにハイスペックで外観的にも高級感ある製品となり、前例を考えれば3ヵ月以内に出してくる可能性がある。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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