このページの本文へ

職業は「プリズムお兄さんです」

才能は2ちゃんがソース、ニコ動の過激派・さつき が てんこもり

2012年06月23日 12時00分更新

文● 広田稔(@kawauso3

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

世界で一番かっこいい音楽はアキバ系

── 今回のアルバムですが、ボカロのメジャーとしては初めてですよね?

自主制作1st「hinekure」(studio皐)

さつき アイドルのシングルなどもちょいちょい手掛けていて、メジャーは初めてではないんですが、ニコ動の活動でもボーカロイドが相当大きな比率になってきている。1曲目が伸びなかった「ウィンク・トランジ・スター」だったりして、それをまとめられるのは気持ち的にデカい。最近の集大成ですね。


── 思い出深い曲は?

さつき 全部思い出深いです。ほかのボカロPでは、働きながら活動されてる方もいらっしゃいますが、僕は音楽作りだけなので、血と肉です。


── 「ネトゲ廃人シュプレヒコール」のように、さつきさんの人生が詰まった曲もあると?

さつき 「ネトゲ廃人~」と「夏休みYummy」は僕の日記的な曲です。「ネトゲ廃人~」は青春時代にやっていたMMORPGがテーマで、ほかの方がラブソングを書くような感覚で作っています。そのもっと前、小学生までならみんな同じだよねという感覚を書いたのが「夏休みYummy」。




── ネットで言う「俺らのうた」ですね。

さつき ですね。「夏休みYummy」はさらっと聴くと普通のいい曲なんですが、昔は無邪気で人間関係とかどうでもいい状態でやってけたのにという憂いを込めています。

 僕は父方のおばあちゃんが北海道にいて、小学生の夏休みに毎年行っていた。ニコ動に上げた動画の、だだっ広い空間で、地平線の先にやっと海が見えるような一枚絵がまさにその思い出です。で、北海道に行くとスイカがもらえるけど、大人になってからあまり食べませんよね? それは買ってまで食べるものじゃなくて、与えるものの象徴だから。歌詞の中に「今日はスイカ買って帰ろう」って出てくるのは、大人になって、いつの間に買い与える側になったという気持ちがこもっています。


── 電波ソングの大家であるMOSAIC.WAVさんがリミックスした「お断りします」も入ってます。さつきさんも同じジャンルですが、コラボが実現してどういうお気持ちですか?

さつき ネットでも言ってますが、ずっと好きだったのですごくうれしかったです。最初はダメもとで申し込んでたんですけどね。「あれ、このコラボってアリなんだ。ワンチャンあった」って。本当に恐れ多いんですが、「ド電波で、直球でお願いします」って結構口を出させていただいて。単純にファンだったので、自分が聴きたかったものをお願いしてしまった。


Image from Amazon.co.jp
EXIT TUNES PRESENTS STARDOM

── 電波ソングについてはどう捉えています?

さつき 電波ソングという呼び方は、「巫女みこナース」とかあのぐらいのときから出てきて、アキバ系音楽の柱になってる。ちょっとバカで、間違ってもおしゃれじゃなくて、でも決めるところは決めている。

※ 巫女みこナース : 2003年に発売された美少女ゲームのテーマソング「巫女みこナース・愛のテーマ」。ヒゲドライバー、OSTER project参加のコンピ「EXIT TUNES PRESENTS STARDOM」に収録。


── その電波ソングを好きになった理由は?

さつき 単純に音数とか引き出しが多くてカッコいい。電波ソングが出てきた頃、仲間のみんなでつたないなりに音楽を作っていたので、「すげー、絶対まねしたいな」と話題になっていた。今までにないものだし、何やっても許される。

 MOSAIC.WAVさんもそうですけど、当時から作ってる作家さんは別の音楽的背景があって、それを引き寄せて電波ソングを作ってる。それがめちゃくちゃかっこいい。今でも世界で一番かっこいい音楽はアキバ系。でも押し付けて無理に広める気はなくて、海外でも一部のギークに知られている現状でもいいのかなって。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン