プロ向けノートを刷新する
「薄さ、速さ、臨場感」という3つのポイント
プロ向けノートブックを刷新する次世代マシンを作りたい──。そうした目標に対して、アップルが定義付けたのが、より薄型かつ最速で、臨場感を持ってコンテンツを楽しめるという3点。欲張りにも思えるこのハードルを、アップルは、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルと、新しいソフトで超えようとしてきた。
例えば、「薄さ」という要素では高さ18mmと、同じ15インチのMacBook Pro(24.1mm)に比べて6mmほど薄くなっている。これは11/13インチMacBook Airの最厚部(17mm)とほどんと変わらない数値だ。MacBook Airのようにパームレスト側にかけて本体が薄くなる「くさび形」ではないので、一見して薄さが訴えてくるわけではないが、既存の15インチユーザーなら持ってみると「薄っ!」と驚くはず。
本体重量も2.02kgと、15インチMacBook Pro(2.56kg)より500g以上軽い。さすがに13インチのMacBook Air(1.35kg)には負けるものの、ひと回り小さい13インチMacBook Pro(2.06kg)を凌駕する軽さを実現している。ちなみに同じ15インチで、薄さと大画面で売ってる「Vaio Sシリーズ15」は、高さが約23.9mm、重量が約2kg。重量は変わらないが、高さでMacBook Pro Retinaディスプレイモデルががんばってることが分かる。
最新の4コア版Core i7、最大16GBメモリー、
フラッシュストレージの標準採用で高速化
「速さ」という点では、CPU、メモリー、ストレージがアップグレードしている。CPUは最新の第3世代Core iシリーズである「Ivy Bridge」を、メモリーは1600MHzのDDR3メモリーを採用。この辺は、新しい15インチMacBook Proとほぼ変わらないのだが、高速なフラッシュストレージを標準採用した点が大きく異なる。アップル担当者によれば、フラッシュストレージは、前の世代より速いものを採用しているとのこと。
こうした性能の底上げにより、旧15インチでHDDを搭載した上位モデル比べると、例えば、写真管理ソフトの「Aperture」ではRAWの取り込みが最大5倍速くなったとのこと。動画系では、ビジュアル合成ソフトの「Motion」では最大1.6倍、「Compressor」や「Final Cut Pro X」では1.3倍、ソフトのタスク処理が速くなっている。
このフラッシュストレージにより、Final Cut Pro Xでは、ProRes 422形式のフルHD動画を9本同時に流して、本編でどのアングルを採用するか選べるようになっている。さらに非圧縮8bit-4:2:2のフルHDでも4本の同時再生が可能だ。動画は解像度が上がったり、圧縮率が低くなるととたんに毎秒あたりの容量を食うようになり、遅いストレージでは書き込みや読み出し時にコマ落ちしてしまう。そのためRAIDを組んで速度を稼ぐなどしているわけだが、フラッシュストレージのMacBook Pro Retinaディスプレイモデルなら普通に扱えてしまうわけだ。