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情シス高橋、 NECサーバー+Hyper-Vに行き着く 第2回

ベンチマークでわかった仮想化の高い集約効果

性能や省エネは?NECサーバー+Hyper-Vの実力に迫る

2012年06月28日 11時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp イラスト●野崎昌子 
記事協力●NEC

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旧サーバーと比べた処理能力やパフォーマンスは?

 さて、さっそく検証の内容について見ていこう。旧サーバーとして用意されたのは、3~5年前のラックマウント型サーバー4台、タワー型サーバー2台の計6台で、すべてNEC製。そして、新サーバーとしてインテル Xeonプロセッサー E5製品ファミリーを搭載したNECの最新ラックマウントサーバー「Express5800/R120d-1M」を用意し、Hyper-Vの仮想マシン環境を用意した。

 Express5800/R120d-1Mは、仮想化やDB運用に最適な高性能サーバーで、CPU/メモリ/I/O間を直結する最新アーキテクチャを採用する最新のインテル Xeonプロセッサー E5-2600製品ファミリーを2基搭載。メモリは最大768GB、2.5インチのHDDを最大8台搭載可能になっている。今回の検証では、メモリは48GB、HDDは2.5インチのSAS HDDを搭載している。

1Uラックマウントの新サーバー「Express5800/R120d-1M」

業務サーバーでの処理能力を測定

 まずはインテルXeonプロセッサー E5520を2基搭載した旧サーバー(R120a-1)とR120d-1M上の仮想サーバーで業務アプリケーションをマルチスレッドのプログラムを動かし、処理にかかる時間と消費電力を比べてみた。グラフ1では旧サーバーの処理時間、CPU使用率、消費電力を1.0として、新サーバーの仮想マシンがどの程度優れているかを示したものだ。

グラフ1 業務サーバーの処理時間、CPU使用率、消費電力の違い

 グラフ1は相対値での表示だが、実際の電力値としては旧サーバーの最大消費電力が約280Wなのに対して、新サーバーの最大消費電力は約150Wで、旧サーバーに比べて消費電力はなんと54%で済む。にもかかわらず、CPU使用率は64%、処理時間で87%で済んでいる。ざっくり旧サーバーの半分の消費電力で、同じ処理をより高速こなせることが証明されたわけだ。

 次に同じ環境で、電力の上限を決めるキャッピングを導入し、処理時間を図ってみたのがグラフ2である。旧サーバーではフル稼働で280W消費するため、15%程度キャッピングしてみた。こうすると、旧サーバーではキャッピングをかけない時に比べ、処理時間が5秒も延びてしまった。つまり、約40W落とすと、処理能力も20~25%減となるわけだ。一方、新サーバーでも同様に15%程度のキャッピングを行なったが、数字はキャッピングをかけない場合に比べても、ほとんど変わらず、処理能力に余裕があることがわかった。

グラフ2 業務サーバーの処理時間、CPU使用率、消費電力の違い(キャッピングをかけた場合)

 ちなみに旧サーバーではキャッピングも4段階しか設定できなかったが、新サーバーでは数値でフレキシブルに制御可能だ。スケジュール設定と併用することで、処理負荷の高い平日の午前中はキャッピングを無効にし、午後はキャッピングにより、節電を優先。さらに夜間は電源自体を落とすといった柔軟な運用が可能になる。

ファイルサーバーのアクセスも大幅向上

 次にファイルサーバーのアクセスについて調べてみた。ここではWindows XP/7のクライアントからファイルサーバーの領域をマウントし、リードとライトのテストを行なった。Windows XPからアクセスしたWindows Server 2003 R2搭載の旧サーバーを1.0とし、Windows 7からアクセスしたWindows Server 2008 R2搭載の新サーバーの値と比較してみた。この結果を現したのが、グラフ3である。

グラフ3 Windows XP+Server 2003 R2とWindows 7+Server 2008 R2ファイルサーバーへのアクセスを比較

 見れば分かるとおり、数値にばらつきはあるものの最新OSにすることでアクセス性能は大幅に向上している。ファイルサーバーにおいても、サーバーリプレースがアクセスの改善につながっているのがわかる。

 高速化した要因としては、最新CPUの採用はもちろん、RAIDコントローラーの性能向上のほか、実はOSの世代の違いがある。調べてみると、Windows XPとWindows Server 2003 R2に比べ、最新のWindows 7とWindows Server 2008 R2のほうが性能がよいという興味深い結果が出たのだ。ファイル共有プロトコルのバージョンが最新になるため、性能の高いクライアントとサーバーの組み合わせになるからだ。業務アプリケーションの関係で、Windows Server 2003 R2が必要な場合でも、Windows Server 2008 R2のHyper-V上に実装した方が高いパフォーマンスが出るという。

 また、グラフ4のとおり、消費電力も旧サーバー6台に比べ、新サーバーの2台は約1/3~1/4で済んでいる。仮想化によるサーバーの集約化を進めることで、高い省エネ効果が得られることが明確になったわけだ。

グラフ4 旧サーバー6台と新サーバー2台の電力利用量の合計値

仮想化でも性能劣化なし!省エネで導入しない理由なし

 このように仮想化しても性能が落ちないこと、そして新サーバーの省エネ性能が数字で明らかになり、本山課長はまさにしてやったりという感じだ。作業を実際に進めたSE鈴木も参加して、検証結果を見てみた。

情シス高橋:いやあ、最新のNECサーバー+Hyper-V、恐るべしって感じですね。

SE鈴木:そうですね。ただ、仮想化でサーバーを集約すると、ネットワークのボトルネックが発生するので、どの程度集約するのが適切かというのは、ケースバイケースです。たとえば、LANポートを数多く揃えて、ゲストOSごとに割り当てるといった工夫は必要になります。

情シス高橋:なるほどね。あと、OSで速度がけっこう違うのが意外でした。うちはリプレース時期の関係で、業務用のクライアントとしてすでにWindows 7のPCが多いですが、サーバーをWindows Server 2008 R2に変えることで、より快適に使えそうですね。

本山課長:Windowsも最新のOSで組み合わせると、ここまで性能が違うんだな。数字に出るとインパクトがあるね。

情シス高橋:省エネで、しかも速くなってしまうなんて。これなら安心して導入できそうです……。というか、この部屋異様に暑くないですか?

本山課長:暑いだろ? 最新のNECサーバーは実は40℃での動作まで保証しているのだよ。だから、ちゃんと動作に異状がないが、空調を一切切ってるんだよ。ここまで暑いと、萌えてくるだろう……。萌えるサーバーベゼルがほしくなってきただろう……。

情シス高橋:そんなに萌えませんし、サーバーベゼルもいいです!見積もり、よろしくです。さようなら~!

本山課長:まっ、待ちたまえ!ワシも出るぞ~。萌える、もとい燃える~!

社長賞なんてできすぎ?価値あるプロジェクトの推進

 ということで、その後AMW社では本山課長のコンサルティングを受けながら、NECサーバー+Hyper-Vの構成でサーバー集約&リプレースを敢行したという。Hyper-Vによるサーバーの仮想化も問題なく進み、1Uのサーバーに既存のサーバーが集約できた。

 情報システム部としてはサーバーの運用がシンプルになり、コスト削減も実現。各サーバー管理者からは、面倒な運用や障害対応がなくなったことで感謝された。そして、経営陣からは省エネの達成やサーバーの集約効果について大いに認められ、なんと期末で社長賞として表彰された。「こりゃできすぎだよな~」と思いつつ、思い切ってプロジェクトを遂行してよかったなあと感じる情シス高橋であった。

サーバー統合&リプレースプロジェクトも無事完了!

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