トリプルコアの独自コントローラー「MCX」により
圧倒的なパフォーマンスを実現
石井 「競合製品としては、インテルやCrucialなどがあると思うのですが、他社のSSDと比べたときのSSD 830の利点をお聞かせください」
岡田 「我々のSSD 830が、他社さんのSSDに比べて違う点は、大きく2つあります。まず1つめは、ハードからソフトまですべてをSamsung1社で作り込んでいることです。
SSDの内部には、NANDフラッシュ、コントローラー、キャッシュ用のDRAMがあります。Samsungはこれらすべてを自社で開発、製造しています。また、組み立てや検査も100%自社で行なっています。NANDフラッシュは信頼性が大きな課題になりますが、そこをカバーするのがコントローラーのハードやソフトの作り込みです。そのあたりは、やはりNANDフラッシュメーカーならではのノウハウがあります。
ほとんどのSSDは、外販向け汎用コントローラーを採用してますが、我々は自社製コントローラーにこだわっており、今回のSSD 830には『MCX』という専用コントローラーを開発しました。
一般的なコントローラーはデュアルコアですが、MCXは、ARM9ベースのトリプルコアを採用しています。通常のコントローラーでは、ホストとのインターフェースおよびSATAをサポートするインターフェースの部分と、NANDフラッシュにアクセスする部分の計2つのコアが使われていますが、MCXでは性能を高めるためにNANDフラッシュアクセスをランダムとシーケンシャル専用に分け、計3つのコアを用意しました。
ユーザーさんの実使用環境で、『ああ、SSDって速いな』と体感するのは、やはりランダムアクセス速度だと思いますので、このスピードを速めるために、トリプルコアのコントローラーを新たに起こしました」
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Samsungから満を持して登場したSSD 830。SSDを構成するパーツのすべてを自社でまかなえる唯一の会社であるSamsungならではの、パフォーマンスと信頼性、安定性の高さが魅力だ。
NANDフラッシュの性能をフルに引き出すための自社コントローラーの開発にこだわる姿勢からも、Samsungのものづくりに対する真摯な態度と情熱が感じられる。性能にこだわる人にも、SSD 830はお勧めだ。
信頼性と安定性の高さも魅力
石井 「キャッシュは256MBですが、こちらにもSamsungのこだわりはあるのでしょうか?」
岡田 「SSD 830のキャッシュには256MBDDR2 DRAMを使用しており、当然自社製です。DRAMパッケージはSSD 830向けにカスタムされた専用品を使っております。
もう1つの差別化のポイントは、信頼性や安定性ですね。SSDはコントローラーやフラッシュメモリーの速さもちろん重要ですが、信頼性や安定性は、いわゆるメーカー公称値だけでは測れない部分があります。それが非常に重要だと思います。
ユーザーさんが使う際に満足度が高くなるものを意識して作り込んでいます。実はメーカー公称値の高さだけでなく、例えば互換性の高さや使い込んだ状態での速度の落ちにくさ、信頼性の高さ、そういった、なかなか数値に表すことが難しいところもこだわっています。
我々のSSDは、世界中のPCメーカーさんで採用されておりますので、そういったノウハウが、スペックには出てこないところで、かなり効いていると思います。信頼性と互換性を高めるために、我々は新しいパソコンなどを、常時200~300台と揃えております。
新しい製品が登場すると、すぐに韓国のラボに送り、そこで世界中から集まったPCをテストするわけです。もし問題があった場合は、それに対応するためのファームウェアアップデートを実行します」
石井 「なるほど。それを徹底的に繰り返すことで、スペックには現われない信頼性が積み重なり、いわゆる相性問題も起きづらいというわけですね」
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SSDの登場当初は、換装した機種によっては、ハイバネーションからの復帰に失敗したり、動作が不安定になるといった、相性問題が起きることも珍しくなかった。また、正常に動作しているように見えても、いわゆるプチフリが頻発するなど、SSDへの換装が必ずしも快適な動作を実現するとは限らないという問題があった。
最近は、他社のSSDでもそうした問題はほとんど起こらなくなったが、世界中のPCを集めてテストを繰り返しているというSamsung製のSSDなら、より安心して利用できるだろう。