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830こそ、本当の意味でコモディティーに降りてきた最初のSSDだ

人気PCパーツ「Samsung SSD 830」の秘密を探る

2012年06月18日 11時00分更新

文● 石井英男 撮影●小林伸

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性能が落ちにくい特徴は、高度なアルゴリズムの賜物

石井 「先ほど、使い込んでも速度が落ちにくいという話をされていましたが、それについてはいかがですか? 確かにSSDは、買った直後とある程度使い込んだ状態のベンチマークテストを比較すると、結構スピードが違いますが」

岡田 「SSD 830には、性能が落ちづらくなるようなアルゴリズムが入っています。

 それもバランスの問題なのですが、ファームウェア的には、次に書き込みにいく場所が存在していれば、パフォーマンスは維持できます。NANDフラッシュは、上書きはできず、消去しないと新たに記録できないデバイスなので、新しいデータが来れば、違う場所に書く必要がある。ですから、フリーのブロックをいかに準備できるかが勝負です。

 その準備を、ガベージコレクションと呼ばれるもので行ないますが、それをどういったしきい値で動かすかは、設計思想によるものだとお考え下さい。もちろん我々は、性能が落ちにくいものを選んでいます。さまざまな方法がありますので、我々の優位点を示すことが難しい分野なのですが、多様なテストパターンを準備し、これ以下にはならないという数字を確認しつつ、開発しています。

 シーケンシャルやランダムのライト速度を大きく上げるには、できるだけ多くのフリーブロック領域を先に準備しておく必要があります。それはつまり、ガベージコレクションを前もって頻繁に実行することになります。

 データがすべて埋まっていない状態でも、先にデータを1つのブロックにまとめてしまおうとすると、まだ書けるにもかかわらず違うブロックにコピーしてしまう、といったことが発生するため、性能や信頼性とのトレードオフになるのですね」

石井 「そうすると、体感できるかどうかはともかくとして、やはりガベージコレクションをしている間というのは、パフォーマンスは多少落ちている。瞬間的な速度を求めるためにフリーブロックを多くすると、それ以外のところで遅くなっている可能性があるということですね」

岡田 「そうです」

石井 「だから、安定して速いのか、速いときもあれば遅いときもあるという作りなのか、という違いが出てくるわけですね。そしてSamsung製は安定して速いと」

岡田 「はい。実際はシーケンシャルにデータを書けば書くほど、(読み出しも、書き込みも)パフォーマンスは高くなります。ですから、それができる形に持っていくわけです。

 いろいろな場所に散らばっているデータを1つのブロックにまとめる処理をマージと呼びますが、複数のブロックでマージが発生する可能性があります。そのなかで、マージにかかる時間や信頼性などから、一番コストが低いものを選んで、マージ処理します。その選び方のアルゴリズムを工夫しているというわけです」

 HDDもそうだが、SSDも使い続けると、空きブロックが細分化され、実効性能が低下してくるという問題がある。

 しかし、SSD 830は、長期間使い続けても性能の低下を最小限に抑えるようなアルゴリズムが搭載されているので、SSDに換装した当初の快適さを損なうことなく使い続けられる。こうした利点は、ウェブサイトやカタログなどに掲載されている最大速度からはわからない“隠れたスペック”なのだ。

SSD 830は、外観にも非常にこだわっており、側面に細かなスリットが用意されているほか、ロゴと容量が別の色で印刷されている

Norton Ghost V15などが付属するお得なキットを用意

石井 「Samsung製で面白いと思ったのは、SSD単体の他に、接続ケーブルとNorton GhostTM V15、ブラケットが付属するデスクトップパソコン用キットや、SATA-USB接続ケーブルとNorton GhostTM V15、スペーサーが付属するノートパソコン用キットが用意されていることですね。こうした至れり尽くせりのパッケージというのは、他ではあまり見かけません」

各種キットにはNorton Ghost V15のフルバージョンが付属する(※写真はイメージです。製品には写真のパッケージは付属しません)

SSD 830には、データの移行方法を解説した「カンタン環境移行マニュアル」も付属。日本語でのサポートが手厚いのもSSD 830の特徴だ

岡田 「SSDは現在、いわゆるアーリーアダプターが中心の市場です。アーリーアダプターの方々は、本体さえあれば、自分でデータの移行や換装を楽しみながらできるでしょう。一方、私はあまりPCに詳しくないのですが、私のような一般人でも、そろそろSSDに手を伸ばしつつある、市場が急拡大しつつある状況でもあると思います。

 いかにアーリーアダプター中心の市場からコモディティーに引っぱっていくかが、我々の課題です。そのための1つのソリューションがこういったオールインワンパッケージのキットなのです。ITGマーケティングを通じた国内正規品は、カンタン環境移行マニュアルを日本ならではのサポートとしてご提供しています。こういったものがあれば、データの移行、マイグレーションも非常に簡単です。

 もう1つのウリが、Norton GhostTM V15のフルバージョンが付いていること。これは製品単独でも数千円するソフトです。フルバージョンなので、データ移行時のみ使うのではなく、普段のバックアップ、リカバリー用としても使えます。これがパッケージに付いていますので、非常にお買い得です。

 もちろん、ケーブル類やバックアップソフトは不要だというお客様もいらっしゃると思いますが、我々はSSDのコモディティー化を狙っています。性能に不満が出てきたノートPCでも、HDDをSSDに換装すれば、無理に最新製品に買い替えなくても、大きなパフォーマンスアップが見込める、そういったニーズです。

 SSDに換装後、1~2年経って最新PCに切り替える際も、SSDはそのまま新しいPCに付け替えることで、まったく色あせずに使えます。HDDはどうしても、ある程度時間が経つといわゆる経年劣化が訪れますが、SSDなら2~3年使ったあとでも性能劣化はありません。

 最近になって急速にに値段が下がってきましたので、。一世代前のPCをSSDに換装するだけで、まるで生まれ変わったかのように速くなりますので、非常にお買い得な製品だと思います。

 そういった意味で、SSD 830はいわゆるPCパーツとしてではなく、コモディティーの市場をターゲットにしております。(パッケージを用意することで)ドライバーでパソコンの裏蓋を外したことがないような人にも、『HDDをSSDに換装するだけで、こんなにPCが生まれ変わるのか!』と実感していただけるのではと思っています。

 また我々は、側面に細かなスリットをつけたり、本体の2色印刷など、外観にもこだわっています。なぜPCの内部に入るモノにもかかわらず見た目にこだわっているかというと、やはりSamsungというブランドを大事にしているからです。

 新しいPCに買い替えた場合など、SSDを取り出して、そのまま外付けのバックアップディスクとして使うこともできます。日本のお客様は、化粧箱のデザインなどにもこだわりますよね。製品をどれにするか迷ったときに、最終的に化粧箱やカタログの質感などを見て決めることも多いと思います。ですから、化粧箱やカタログにもこだわっています」

ノートPC用/デスクトップPC用キット。SSDへの換装にあたって必要な一式が揃っている

石井 「デスクトップPC用とノートPC用、ベーシックと3種類のパッケージがありますが、売れ行きの割合はいかがでしょうか?」

岡田 「今現在はデスクトップPC用が多いようです。キャッシュ用として使われているのですね。ゲームや動画編集などではHDDとSSDを併用する使い方がまだまだ多いようです。

 ノートPCに目を向けると、今年からウルトラブック(Ultrabook)が普及し始めています。ほとんどの機種でSSDを搭載していますので、その快適さに触れる機会も増えてくるでしょうから、今後はノートPC用の需要もかなり増えてくると思っています。

 SSD 830で、筆者が最も面白いと思ったのが、単体の他にノートPC用とデスクトップPC用が用意されている点だ。これらのパッケージには接続用ケーブルのほか、フルバージョンのNorton GhostTM V15がバンドルされており、特段の準備なしに今までの環境を丸ごとHDDからSSDに引っ越せるので、初心者には非常にありがたい。

 価格も、SSDとNorton GhostTM V15を別々に買うより、かなり安いので非常にお買い得だ。

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