このページの本文へ

Microsoftが若きエンジニアをサポートする理由 第4回

ITで音楽を作り上げたい、nana music文原氏

世界の人々とセッションできる音楽アプリ「nana」

2012年06月27日 19時26分更新

文● タトラエディット、語り●文原 明臣、遠藤 諭、写真●小林 伸

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 この記事は、Microsoft BizSparkの提供でお送りします。 スタートアップ企業には年間最大32万円相当のクラウド環境を無償利用できる特典など、起業家を強力にサポートします! 今すぐ詳細を確認。

ITで音楽の楽しさを再現したい!

遠藤 「そしてこの業界に入ってきたんだ」

文原 「はい。レーシング・ドライバーにはかなり未練がありましたけれどね。2009年の最後のレースに出て、お金も尽きて、それから別のことをやろうと。で、ちょうど興味が出てきたウェブのテクノロジーを勉強してみようかと思いました。2010年は自由になる時間がかなりあったので、いろんな本を読んだりしながら、はじめてiPhoneに触れたんです。とても感動しました。テクノロジーで何か作れるっていいなと、わくわくしてきたんですね。

 過去、ハイチ沖地震のときに、世界中のアマチュアシンガーが『We Are the World』を歌ったという動画をたまたま知って、感銘を受けました。音楽が大好きだったこともあって、ITで音楽をやろうと思ったんです。音楽は力があります。いっしょに歌う楽しさが絶対にあるんだと思って、それが知らない土地の人と歌えるとなると、わくわくしてきて。音楽を聞くサービスはたくさんありますが、音楽を作り上げるものとなると……」

遠藤 「……、たしかヤマハがやってたよね。アメリカと日本のプレイヤーがリアルタイムでセッションできるような」

文原 「そうですね。僕は、リアルタイムではない“非同期”というところに重点を置きたかったんです。まだまだ著作権的にグレーであったりとか、音声データを扱うためのインフラが整っていなかったりで、結構苦労しそうだったのですが」

遠藤 「YouTubeやニコニコ動画もインフラや著作権をクリアするのに結構時間がかかったみたいだし。ところで、誰かの歌へ多重録音するときに、ネットなんかではタイミングがずれますよね? どうやっているんですか?」

文原 「実際にやってみましょうか。『あー、てすてす』『♪上を向いて、あ~るこう♪』」

遠藤 「おお~、うまいですね」

文原 「ありがとうございます(笑)。そして、これを聞きながら、こうやって重ねていくんです」

遠藤 「なるほど、一度端末にデータがダウンロードされるのか。その音声データに重ね録りするからズレないというわけね。そしてできたモノを再度アップロードすると」

文原 「理解していただけたようで、何よりです。『nana』は多数の人とリアルタイムにセッションするわけではないので。昔のデモテープ作りの感覚で多重録音していくんです。パラメーターをいじったりすることなく直感的に操作できるでしょう?」

遠藤 「ここ数年の音楽制作アプリってACIDのようなループを重ねていくようなものになって、テンポなんかも自由に合わせることができちゃう。デジタルだと、まずACIDのような緻密にいじれるものを考えちゃうものだけど、あえてそういうことはせず、生で音声を録音していくのか。『ソングファイ』のような楽しさに近いわけだ。

 『おいキミ! 今日はなぜ遅刻したんだ』と叱ると、部下が勝手に音声をアップロードしちゃったりなんかして、さらに誰かが歌にしてくれるというようなアプリかな。ネタ系のアプリなんだけど、それはそれで話題になりましたよね。それがよりクリエイティブになったと。

 それと、DJのウェブサービスが話題になっていて、いや、僕はDJの世界は知らないけれど、レコードプレーヤーが2台あるだけでこんなに楽しいんだということがわかった。一般的にはレコードは家で聴くためのもの。だけどプレーヤーが2つあると、短い曲も長く踊れるものになる。次はこの曲、フェードアウトしてつなげるとか、いろんな楽しみがあるんだよね。さっきの快感の原則じゃないけど、色々悩みながら曲をつなげていくと、快感が増幅されていくようなもの。音を重ねていくのもそれに近いんじゃないかな」

カテゴリートップへ

この連載の記事