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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第93回

富士通のかっこいいUltrabook LIFEBOOK UH75/H誕生の秘密

2012年06月14日 14時16分更新

文● 西田 宗千佳

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 ハードウエアとしての側面から、小中氏はさらに補足する。

小中「『ヒーローPC』というのはある意味、これまでやっていた超小型PCの『LOOX U』シリーズ、あの流れと同じです。ただしもう少し体系だてて、『ヒーローPC』という固有名詞をつけてやってみたということです。そこで、いままでの『超小型限定』というところよりは、範囲を広げてやっています」

小中「そこで出たひとつの答えが、『15型のユーザーを取り込める14型』です。14型と言うと、モバイルでは『大きい』というイメージがつきまとうと思います。では、人が感じる『大きさ』とはどこか? それは特に奥行きなのです。奥行きの大きさは、特に人に与えるサイズインパクトが大きいんですよ。実際、13型モデルの奥行きで作れば、14型の製品なのに、パッと見では13型に見えてしまうほどです。お店で見て買っていただく時に、そういった『小ささ』を感じて選んでいただけるよう、考えました」

奥行き方向を縮めることで、14型ながら13型級のコンパクトさに見えるようにデザインされている

 さらに、「一番大きく変えた部分が別にある」とも明かす。

小中「LOOX Uの時代から、デザイン担当には『どういうPCであるべきか』を考えてもらっていましたが、今回は特に、技術依存の要因でデザインを変えないことを目指しました」

小中「実際問題、電池のエネルギー密度やHDDの厚さは変えられません。ですから、誰もが変えられない部分だけを元にデザイナーに提示し、デザインしてもらっています。そして今回は、『形を決めたら変えない』、つまりデザイン性をくずさないようにしようと決めたのです。まずモックアップを作り、そのデザインを実現できるよう努力しました」

小中「それには、技術的にもそのレベルを実現できるようになった、ということもあります。今ご覧いただいているのは、モックアップと製品に近い試作機ですが、デザイン・サイズはほとんど変わっていません。厚さにいたってはモックよりも薄くなっているくらいです」

UH75/Hの製品版(上)とモックアップ。デザインイメージはほぼ変わっていないことがわかる

 このようなことを実現できた理由はなんだろうか? ひとつの契機になったのは、意外な機種だった。

NTTドコモ「F-07C」。富士通が開発したスマートフォンサイズのWindows 7マシン

小中F-07C※1を作った経験が生きましたね。携帯電話のサイズにしなくてはいけないため、どうしても大きさが決まってしまっています。その中で実現するにはどうしたらいいか。その時の配置や開発手法の工夫が、UH75/Hには生きています」
※1 NTTドコモが2011年7月に発売した携帯電話で、製造は富士通。OSとしてiモード用のSymbian OSのほかに、フルサイズのWindows 7が動作した。Windows 7モード用CPUはAtom Z600。

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