IGZOはシャープの救世主となり得るか
シャープにとって、IGZOは事業成長の切り札となる。
先頃シャープが発表した2011年度連結業績は、売上高が前年比18.7%減の2兆4558億円、営業損失はマイナス375億円と赤字転落。経常損失はマイナス654億円の赤字、当期純損失は前年の194億円の黒字からマイナス3760億円となった。3760億円の最終赤字は同社にとって過去最大の規模だ
。シャープの奥田隆司社長は、「中小型IGZO液晶の出荷遅れなどに加え、ヒット商品やオンリーワン商品を次々に市場投入する取り組みが不足したことが主因」とする。
IGZOの量産化は、当初の計画よりも大幅に遅れていたことを理由にあげたのだ。
量産が遅れた理由について、シャープの方志教和執行役員は、「第8世代の生産設備を活用して、安定した量産品質を確保できなかったこと、顧客の仕様にあわせた作り込みの部分で時間がかかったこと」をあげた。
2011年度の液晶事業の業績は、売上高が前年比29.8%減の7,209億円、営業損失はマイナス422億円の赤字。「モバイル向け液晶は堅調に推移したが、大型液晶は世界的な市場環境の悪化により、工場の稼働調整を実行したことや、在庫評価減が影響した」(大西徹夫 常務執行役員)という。
とくに、操業率を50%に抑えたテレビ向け大型液晶パネル生産の堺工場の減産が業績悪化に影響した。
2012年度は、液晶事業において前年比29.0%増の9,300億円の売り上げを見込み、営業損失については、「通期で100億円程度の赤字が残ることになるだろうが、下期は液晶全体では黒字になる。中小型液晶は、年間を通じて、黒字で推移する」(大西常務執行役員)と見込む。
シャープの奥田社長は、「2012年度に、シャープは100周年という節目を迎える。オンリーワンであるIGZO液晶、プラズマクラスター商品群、ビジネス機器など、利益率の高い商品の貢献を見込む」と、IGZO液晶を操業100周年の復活の切り札に据える。
同社幹部の発言や、IGZOの技術的強みを俯瞰すると、IGZOの量産開始、そして新たな技術によるモバイル液晶領域におけるさらなる競争力強化は、シャープにとって、まさに復活ののろしといえそうだ。
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