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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2012 第4回

知ったかできるパーツ基礎知識【ケース/電源/クーラー編】

2012年05月31日 12時00分更新

文● 山県

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環境に合わせたCPUクーラー選び

 ケース、電源と見てきて最後は、イマドキのCPUクーラーを確認していこう。CPUクーラーは各ベンダーが冷却性能向上のため試行錯誤した結果、形状/材質/価格とも多種多様で定番といえる製品がないのが現状だ。
 この点は毎年変わることもなく、今でも明確な答えがない難題でもあるのだが、そこがCPUクーラーの面白いところでもある。

「2011年CPUクーラー最強王者決定戦」でテストした全22アイテム

 そこで、ここでは基本的なCPUクーラー選ぶ際のポイントについて紹介していきたい。なお、CPUクーラー個別の性能については「2011年CPUクーラー最強王者決定戦」で詳しく紹介しているのでそちらも参照してもらいたい。

トップフローとサイドフローの違い

 CPUクーラーにはファンの風を上から吹き付ける「トップフロータイプ」と横方向から風を吹き付ける「サイドフロータイプ」の2種類がある。リテールボックスに付属する純正クーラーはIntel、AMDともにごく一部の例外を除いて、ほとんどがトップフロータイプを採用している。

FX-8150のパッケージ版に付属するリテールクーラー。実は冷却能力には定評のある製品で、しっかりと仕事をこなしてくれる

サイドフロータイプのCPUクーラー。写真はサイズ「MUGEN∞3『無限参』 Rev.B」

 トップフロータイプは、CPUの冷却に加えてCPU周辺のパーツも冷却できるという面で優れた方式だ。このあたりを製品のウリとしてプッシュする例も多い。さらに、幅の狭いスリム型PCケースや、Mini-ITXクラスのコンパクトPCケースでは高さに制限があるため、必然的に「トップフロータイプ」を使う必要がある。
 一方で大口径ファンを搭載した場合など、サイドフローに比べてCPU周辺のコンデンサーやメモリーと干渉しやすく、あまり大きくなると取付け自体が困難になるなどの問題もある。

サイズ製CPUクーラーの人気モデル「BIG SHURIKEN 2(大手裏剣2)」。大型トップフロー構造ながら高さは58mmに抑えられ、小型筐体でも高い冷却能力を発揮する。ただしご覧の通り、取り付けはかなりギリギリ

 サイドフロータイプは、CPUコアに接触するベース部と放熱フィンから構成され、ヒートパイプによってベース部の熱を放熱フィンへ移動して冷却する仕組み。
 さらにヒートパイプを使うことで、放熱フィンを高い位置にマウントできるため、CPU周りのコンデンサー類やメモリーなどへの物理的干渉を気にすることなく放熱フィンの大型化と大口径ファンを搭載できる。そのため、特に高冷却モデルの多くはサイドフローを採用した製品が多くなっている。

サイドフロータイプは、ヒートパイプのおかげで放熱フィンをCPUよりも高い位置に配置できる。このため、放熱フィンや冷却ファンを大型化しやすく、冷却性能を向上させやすいのが特徴だ。また、大型になった場合でも取付けが比較的容易なのもメリットといえる

サイドフローとトップフローが合わさったTITAN製CPUクーラー「SIBERIA」なる製品も発売されている。CPUのみならず、メモリーやMOSFET、チップセットといったマザーボードコンポーネントの冷却にも期待できるという

今や特別ではなくなった水冷クーラー

 これまで水冷方式のCPUクーラーというと冷却性能は高いものの、大掛かりかつ、メンテナンスも面倒なイメージがあり、一部のハイエンドユーザー向けといった趣が強かった。
 ところが、いまやそのようなイメージは皆無。特価で3000円台から購入可能な水冷キットは、自作初心者がいきなり導入するということも場合によっては可能な時代となっている。

随分手軽に導入できるようになったメンテナンスフリーの水冷キット。ショップでもこれからの季節は導入を積極的にアピールしている

なにしろ、あのIntelからも純正水冷クーラーが出る時代。「RTS2011LC」は“Sandy Bridge-E”向けのLGA 2011対応モデルだ

ラジエーターサイズを大型化させ120mmファン2基を備えるモデルもいくつか発売されている。冷却能力は上がるが、搭載ケースに制限もあるので事前によく確認しよう

特価とはいえ3000円台から購入可能な水冷キット。ちょっとしたCPUクーラーを購入するよりはるかに安いという現象が起きている

実は重要、時間をかけてじっくり検討しよう

 ここまで、PCケース/電源ユニット/CPUクーラーのいまどきについて紹介してきた。いずれも、処理速度を向上させる、きれいな描画を実現するといったパフォーマンスに直接影響のないカテゴリーともいえる。

PCケースやCPUクーラーを購入する際には事前にエアフローをイメージするのが重要。そうすることで強化ポイントもおのずとハッキリしてくるはずだ

 ただし、CPUやビデオカードといったパーツ類をいかに快適に動作させるかが問われるのがPCケース/電源ユニット/CPUクーラーだ。どんなに高性能なPCも、まず第一に安定して動作することが重要なのは言うまでもない。そのためにはエアフローに配慮したPCケースや安定した電源出力を持つ電源ユニット、冷却性能の高いCPUクーラーをしっかり選択しておきたい。

PCケース/電源ユニットは最重要パーツにあげるショップ店員も少なくない。特にハイエンドケースなら数年は使うことになるので慎重に選びたいところだ

 これで4回にわたってお届けした「アキバで恥をかかないための最新パーツ事情」は終了だ。ここまで読めば、もう情報通。パーツショップに行っても知らない単語に悩まされることは、ほとんどないはずだ。
 さっそく秋葉原に行って、最新PCパーツを買い漁ろうじゃないか!

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