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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第116回

デジタル機器から離れて疲れた心を癒やす技

2012年05月29日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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不要なウェブサービスを退会しよう

 デジタルに疲れたからといって、完全にPCやスマホを使わないというのも無理な話。そこで、快適にPCやスマホを使えるように、デジタルデトックスをしてみよう。まず、お勧めしたいのが、不要なウェブサービスの退会だ。ネットをよく使う人で新しいもの好きなら、さまざまなウェブサービスの無料アカウントを持っていることだろう。そのうちのいくつかは、平行して使っているかもしれない。そのすべては、本当に必要なものだろうか?

 例えば「Dropbox」のようなクラウドストレージサービスの無料アカウントを複数取得して、使い分けるテクニックがある。ビジネス用とプライベート用のように活用しているなら便利なのだが、特に意味なく運用しているなら手間がかかるだけ。どちらかにまとめてしまった方がいい。写真共有サービスも同じ。とりあえず作ったアカウントに写真を少々アップロードし、どんどん別のサービスを使っている人もいる。「Picasa」や「Flickr」のようなずっと使えるサービスに絞り、ほかのアカウントは消去した方がいい。昔使っていたウェブメールやオークションサイト、ネットゲーム、ブログなども同様だ。

 ネット上に使っていないアカウント情報が残るのはリスクが高まるだけだ。大手の有名サービスでもパスワードの漏洩などが発生しているのに、新興のウェブサービスが安心などとは考えられない。いつかトラブルが発生し、意味もなくIDとパスワードが流出し、怪しいダイレクトメールが大量に送られてきたら面倒だ。パスワードを流用している人なら、ほかのウェブサービスまで一気に不正アクセスされてしまう。パスワードを個別に変えるのはもちろんだが、使っていないサービスは退会しよう。

完全にデータを削除し、アカウントを消去する。画面はGoogle+

SNSは問題が起きたら対応が大変に
不要と思ったら解約すべき

 なかなか退会できない反面、重要度が高いのがSNSだ。複数のSNSを運用するのはとても手間がかかる。mixiとFacebook、Twitterの3つでさえ、投稿や知人の書き込みのチェックには時間がかかる。これに加えて、ほかのSNSを使っていたり、ブログを書いていたら大変だ。それぞれに読者や知人がいるかもしれないが、本当に必要なサービスに絞った方がいい。

 手間の問題だけではない。後味の悪い話ではあるが、ネットでよくある事例を紹介しよう。誰かがツイートやブログで未成年の飲酒や万引き、いじめなどを行なったことを書き込むと当然のように炎上する。これは自業自得なのだが、ネットユーザーは、SNSでつながっている人たちの書き込みまでチェックする。炎上していると、ネットリテラシーの高い人たちが多数押しかけるので、一気に個人情報が丸裸になる。通常は炎上した本人を攻撃するのに使われるのだが、その際に目立つ投稿や写真があると、本来関係のない友人が晒されるという事態になる。書き込みはキャプチャーされ、写真は別のサーバーにアップロードされ、拡散が始まる。特に悪いことをしていなければ、それほど炎上することはないが、ネット上にずっと悪口が残ってしまうのだ。さらに問題なのは、Googleはこの手の情報を削除してくれないこと。

 Googleで検索しようとすると、途中でサジェスト機能が働き、予測されるキーワードを表示してくれる。ある男性が自分の名前を入力したところ、フルネームと一緒に犯罪を連想させる単語が表示された。犯罪に荷担したかのようなウェブページが多数存在し、就職活動の際に甚大な影響を与えた。男性は弁護士と相談し、サジェスト機能の停止を求め申請し、東京地裁は差し止め命令を出した。しかし、米Googleは拒否。単語は機械的に選ばれており、わざと並べているわけではないというのが理由だ。こうなったら、個人ではもうお手上げ。

 メインで使っている1~2個のSNSなら、炎上が発生したらすぐに対応が取れる。フレンド登録を解除したり、投稿を非公開にしたりすればいいのだ。しかし、昔使っていたSNSが残っていたりすると手が回らない。利用するSNSは厳選し、身軽にしておくにこしたことはない。

PCの起動が早くなればストレスフリーに
PCのOSを再インストールしよう

 PCを長く使っていると、中がごちゃごちゃになり、動作も遅くなってくる。しばらくメンテナンスしていないという人は、PCのデジタルデトックスも行なおう。普段はさまざまなバックアップツールを紹介するのだが、今回はデジタルデトックスが目的なので、OSの再インストールをお勧めしたい。メーカー製PCならリカバリーをかけて、工場出荷時の状態に戻すのだ。

 デジカメ写真やオフィス文書、ブックマークなどを忘れずにバックアップする必要はあるが、その際に不要なファイルの選別もできる。特に必要じゃないが、いつか使うかも、と思ったファイルは捨ててしまおう。必要になる確率はほとんどないし、なくても支障がないことが多い。ネットからダウンロードできるオンラインソフトならバックアップは不要。再インストール後にダウンロードすれば、最新版になるというメリットもある。Gmail上にあるメールデータなどもバックアップしなくてもいい。ネット上の動画や画像を収集していた人も、綺麗さっぱり捨てるチャンス。今時、検索を駆使すればほとんどのデータはネット上にある。わざわざPCにダウンロードし、ストレージを圧迫させる必要はない。

 筆者も半年に1度くらいOSをクリーンな状態でインストールし直すことがある。通常は、基本的な設定を行なった状態でバックアップしたデータを書き戻しているのだが、ドライバーやソフト類を最新の状態にするためにクリーンインストールするのだ。まっさらな状態のWindowsはすこぶる気持ちがいい。起動終了が速く、動作もサクサク。デスクトップにはアイコンが散らばっておらず、快適そのもの。デトックスという単語がぴったりだ。

クリーンインストール直後のWindowsは快適そのもの

 今回は、3種類のデジタルデトックスを紹介した。週末にでも試しにチャレンジしてほしい。その疲れ、もしかしたらデジタルが原因かもしれませんよ。


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「ポケット百科 GALAXY SII LTE 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。


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