意外なラインナップは、「Husky」ベースの「Athlon II X4」である。まず2011年8月に、「Athlon II X4 631」が投入された。これはAPU内のGPUコアを無効にしたもので、フォームファクターは「Socket FM1」のままながら外部GPUが必要という、ちょっと変わった構成になっている。
このシリーズは、2011年11月に3GHz駆動の「Athlon II X4 651」が追加され、2012年2月には2.7GHz動作の「Athlon II X4 638」と2.8GHz駆動の「Athlon II X4 641」も投入された。3GHz駆動のAthlon II X4 651は、A8-3870Kに先んじての3GHz駆動製品となったが、GPUを無効化しているのでTDP的には容易だったと思われる。
一方Athlon II X4 638は、このラインナップとしては初めて65WのTDP枠で投入された。4コアで65WのTDP枠となると「A8-3800」が相当する。だが、A8-3800は定格2.4GHz/最大2.7GHzなので、GPUを無効化したとは言え常時2.7GHzで駆動するAthlon II X4 638を同じ65W枠で投入できたのは、やはりSpeed Yieldの改善があったのではないかと想像される。
次世代AMD FXは
FX-8300/6300/4300で8月登場?
ここからが今後の話である。まずFXシリーズだが、ラインナップの更新は現時点では8月を予定している。こちらはコアをBulldozerから、Piledriverに切り替えたのが大きな違いとなるが、逆に言えば差はその程度。プラットフォームは引き続き「Socket AM3+」である。問題となるのはチップセット側の対応だ。以前の話では、「AMD-1090FX」と「AMD 1070」というチップセットが予定されているという話があり、これらが第2世代のAMD FXと同じタイミングで出荷されるということだった。ところが最近では、AMD-1090FX/1070の話はまったく聞こえてこなくなっており、どうなっているのかは不明である。
ちなみにこのAMD-1090FX/1070は、既存の「AMD-990FX/970」チップセットのアップグレード版で、USB 3.0対応とSATA 6Gbpsを8ポートを搭載するものの、PCI Express 3.0には対応しないというものだった。この当時、AMDはまだPCI Express 3.0をスキップする予定だったのでこうした話になったわけだが、一転してRadeon HD 7000シリーズがPCI Express 3.0に対応したことで修正を迫られた。そんなわけで、はたして8月のPiledriver製品投入時に、新チップセットが間に合うかどうか? 現状では定かではない。
話をCPUに戻すと、この新AMD FXは300番台の型番となる。これは200番台をFX-6200で使ってしまっているからで、「FX-8300/6300/4300」という名称になる。現時点で確定しているのは、ハイエンドの4モジュール/8コアが「FX-8350」と「FX-8320」、3モジュール/6コアが「FX-6300」、ローエンドの2モジュール/4コアが「FX-4320」となるらしい。
動作周波数などは現状では明確になっていない。PiledriverコアはIPCの面ではあまり大きな改善はなく、その一方で「共振メッシュクロック」などの技術で高速化への対応を進めていることから、多少なりとも動作周波数の上乗せは期待したいところで、FX-8350では定格で4GHz超えあたりを狙うであろうと想像される。これからやや動作周波数を落としたFX-8320も、同時に登場するようだ。
またFX-6300とFX-4320も、ほぼ同時に投入されるようだ。これに続く派生型に関しては、生産の動向などを見ながらという形になるようだ。生産開始当初はいろいろと問題もあったGLOBALFOUNDRIESの32nm SOIも、最初の製品出荷からもうじき1年になろうとしており、最近では歩留まりも十分高くなったとされている。また上でも述べたとおり、Speed Yieldに関しても改善の兆しが見えているから、動作周波数の向上については筆者はやや楽観的に見ている。
とはいえ、「それでは5GHzの大台も狙えるか?」と問われれば、それは無理だろうと思わざるを得ない。Turbo COREの最大クロック時で4.5GHzあたりを狙う、というのが妥当な数字ではないかと考えている。
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