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CEOインタビューで明かされる、他社に負けない製品の優位性とは?

ファルコンストアCEOは「DR/BCPに高い関心の日本に期待」

2012年05月30日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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 従来型のバックアップソフトウェアを超える高速なBCP/ディザスタリカバリ・ソリューションを提供するファルコンストアは、仮想化/クラウド時代に向けた新たな戦略を構築するとともに、日本市場への取り組みをさらに強化し、4月12日には新しいパートナープログラムである“PartnerChoice”を発表している。米ファルコンストア(FalconStor)のCEOであるジェームズ・マクニール(James P.McNiel)氏に同社の戦略と日本市場への取り組みについて聞いた。

インタビューを行なった、FalconStorのJames P. McNiel氏(President, Chief Executive Officer)

仮想化とクラウドに関する戦略

 FalconStorの主要マーケットはエンタープライズ向けのバックアップだが、特にBCP(Business Continuity Plan)とDR(Disaster Recovery)に関するユーザーのニーズが高まっている。その理由は、およそ7年ほど前から起きている劇的ともいえる変化だ。

 劇的な変化の1つは、データ量の増大である。データ量の増大ペースはいわゆる“ムーアの法則”と同等で、およそ18カ月ごとに2倍だ。構造化データ/アプリケーションデータの伸びは、毎年20~25%増にとどまる。だが、非構造化データの伸び率がきわめて高い。このデータ量の増大に伴って、企業はより優れたデータ管理手法の導入、バックアップ方法再検討の必要に迫られているわけだ。

 もう1つは、サーバー仮想化だ。従来のバックアップは、使われないままになっていたCPUサイクルをうまく活用する形で実施されていた。しかし、サーバー仮想化の普及によってCPUの利用効率が目覚ましく向上した結果、CPUサイクルには空きがなくなってきた。このため、企業ではバックアップやDRのための新たな手法が必要とされているのだ。

 このソリューション実現の鍵となるのは、ストレージ仮想化技術である。ヴイエムウェアのサーバー仮想化ソフトウェアは、下層のハードウェアからOSを分離する。FalconStorは、ストレージのリソースを下層のハードウェアから分離し、抽象化レイヤを介して両者を接続することで、さまざまなベンダーのストレージハードウェアが混在する環境に対応するという。

 また、FalconStorは多くのパートナーと協業し、BCDRクラウドを提供している。中でも顕著な例がヒューレット・パッカード(HP)の取り組みだ。HPはFalconStorのストレージ仮想化技術をHPデータセンターの中核部分で活用しているという。FalconStorの強みは独立系ソフトウェアベンダーであることで、さまざまな異なるベンダーのストレージに対応できている。同社のストレージ仮想化技術を活用すれば、ユーザー企業でもさまざまなベンダーのストレージハードウェアの選択肢が拡大し、混在環境で運用できるのだ。

ファルコンストアのBCDRスタック。データマイグレーションをベースに、BCP、DR、重複排除などの領域をカバーしている

FalconStorの優位点

 マクニール氏によれば、ストレージソリューションの各スタックごとに比較しても、FalconStorには競合他社の製品に対する明確な優位点があるという。特にデータマイグレーションの部分では、ある場所から別の場所にデータを移動することがきわめて効率的に実行できる。データレプリケーションでも、あるサーバーがデータ書き込みを行なっている時に、同時に他のサーバーに対してもデータをコピーできるのだという。

 他社製品は、レプリケーションをブロック単位で行なっており、典型的には64KBというサイズになる。このため、文書ファイル中の1文字(1バイト)を書き換えただけでも、64KBのデータコピーが発生してしまう。一方、FalconStorの製品はセクタレベルで差分を抽出できるため、最大でも512バイトのコピーでデータを同期できる。64KBブロック対512バイトセクタなので、FalconStorは128倍高速という計算になる。ユーザー企業のITシステムでは、ネットワーク帯域はきわめてコストの高いリソースとなっているが、転送データ量を大幅に削減できることでユーザー企業のITコストの削減にも寄与するのだ。

 ほかにも、FalconStorのスナップショット技術も独特だ。スナップショットとは、いわば“データの写真撮影”のような技術。あるアプリケーションのデータのスナップショットを作成する場合、最初にデータ全体のイメージを丸ごと保存し、以後は変更カ所だけを転送するのが効率的だ。他社の技術では、ここでも大きなブロックで転送を行ない、大きな差分ブロックを順次積み上げていく。このため、データを復旧したい場合には、最初の大きなイメージをまず復元し、それに多数の差分ブロックを順序よく重ね合わせる作業が必要であり、復旧に長時間を要してしまう。

 FalconStorは、こうした手法でスナップショットを実装するのは間違いだと考え、スナップショットを作成するたびにその時点での最新イメージを生成するようにした。このため、データ復旧の際にはいつでも迅速に最新のイメージを取り出せるのだという。さらに、FalconStorのスナップショットにはディスク上のすべてのデータを完全に含むことができるので、システムディスクのスナップショットであれば、そこからシステムをブートすることもできる。特許取得済みのこうした技術により、FalconStorのスナップショットは市場でも最速のリカバリータイムを実現しているという。

ローカルのレプリケーションストレージ(CDP:Continuous Data Protection)とパートナーによるDRクラウドを連携させることでどのような状況においても最短時間でのデータ復旧を担保する

日本市場では何を目指す?

 続いて聞いたのが、日本市場向けの戦略だ。マクニール氏は、日本市場に大きな期待を持っているという。なぜなら、日本ではBCP/DRに対する関心が顕著に高まっているからだ。日本市場では、多くの企業が「どのようにシステムを復旧すればよいか」について検討をはじめ、最良の手段を探し始めている。よく聞かれるのは、

  • リカバーの時間を短縮するにはどうすればよいか
  • リモートサイトのリカバリーを行なうにはどうすればよいか

といった疑問だ。東京にオフィスを置く企業では、バックアップアップサイトを東京以外の場所に準備するという取り組みも見られる。

 またFalconStorは、パートナーのBCDRエキスパートのコミュニティ形成を目指す“PartnerChoice”プログラムを日本でも展開することを明らかにしている。BCDRのベストプラクティスに関する教育プログラムなどを通じ、日本国内で活動するセールスエンジアやフィールドエンジニアを育成。ユーザー企業が包括的なBCDRプラクティスを開発、展開、運用管理を行なう際の支援を提供できるようにしていくという。

 日本市場は前年比40%増といった成長を達成しており、これはFalconStorの取り組みの正しさを裏付けているのだとする。そして、PartnerChoiceの提供により、この成長率をさらに加速することが可能だと考えているのだ。パートナーからは「日本に特化したプラクティスの準備」や「日本語化されたトレーニングの充実」に関する要望も受けており、より多くのドキュメントを日本語化するなどの取り組みを進めていく計画だ。

 なお、FalconStorはすでに多数のパートナーを獲得しており、これらのパートナーはBCDR市場の成長性や、DRをサービスとして提供する「DR as a Service」の意義を理解している。こうしたパートナーは、中核技術としてFalconStorを採用したデータセンターを開設し、データの保管や、スナップショットを顧客企業のオフィスから遠隔で取得するといった機能を実装している。端的に言えば、“BCDRクラウドの構築”ということだ。

 クラウド上のデータは、ネットワーク障害でクラウドへのアクセスが失われてしまうと利用できなくなる。この問題への同社の回答が、重要なデータをローカルとリモートの両方に同時保存する設計だ。このため、ローカルのバックアップデータまで破壊されてしまうような状況に陥った場合でも、リモートのクラウドからリカバリが可能だ。英語のことわざに「“An ounce of prevention is worth a pound of cure.”(1オンスの予防は1ポンドの治療に匹敵する。1ポンドは16オンス)」があるが、まさにこの通りだといえる。

 グローバル市場向けには、FalconStorの協業相手であるヒューレット・パッカード(HP)がクラウド型サービスを中規模から大企業を対象に提供を始めている。そのほか、米国やオーストラリアなどには中小企業を対象にしたクラウド型サービスをグローバルに提供しているパートナーがあるし、日本国内でもすでに中小企業向けクラウドサービスを提供しているパートナーが8社ある。

 リセラーにとっても、クラウド型サービスは継続的な売上を期待できる点という点で大きなビジネスチャンスとなる。パートナーの視点では、あらゆる企業が必要とするサービスだという点が大きなビジネスチャンスであるはずだ。さらに、保護すべきデータの量が年々増え続けている点や、FalconStorのクラウドサービスの課金体系はGB単位である点も、導入しやすい要因だろう。クラウドサービスには、日本でも大きな可能性を秘めたビジネスだと確信しているとマクニール氏は結んだ。

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