さまざまな分野に刺激を与えそうな4K2Kの可能性
取材の最後に、4K2Kの今後の可能性についてお三方に伺った。
「4K2Kアダプターの発売は、僕自身も絶対にやるべきだと主張してようやく実現したのですが、これによって4K2Kテレビの可能性は大きく広がりましたね。AV用のテレビとして、PCモニターとして、やれることがたくさん増えて、テレビメーカーとしても胸がわくわくしています」(本村さん)
「静止画表示について、印刷関係の方に4K2Kテレビの画質を見てもらったとき、A0判(841×1189mm)の印刷物と変わらない品質だという感想をいただきました。ディスプレーとしてこれだけの表現力が備わると、画質という点でもさらにいろいろな挑戦や課題が見えてきます。画質というよりコンテンツを楽しむスタイルも変わってくるでしょうね」(住吉さん)
「55V型の大きさのPCモニターなんて、馬鹿げた発想に思えますが、4K2K解像度というと実はかなり実用的というのがわかってもらえたと思います。CAD計算で自由に家をデザインできるソフトなども面白いですよ。ウォークスルー映像など、かなりリアルにその家の住み心地が伝わりますね」(西岡さん)
地デジ化完了後のテレビ業界は、すっかり元気をなくしてしまったかのように思われているが、全然そんなことはない。4K2Kテレビの出現は映像コンテンツはもちろん、PCの映像表示を含めて、さまざまな分野に刺激を与えると思う。
実際のところ、筆者自身もAV用としてだけでなくPC用モニターとして55XS5を使ったら、仕事が随分はかどるのでないかと妄想していた。
フルHDの画面では、原稿を書くためのエディターとウェブブラウザーを開けばいっぱいで、記事用の写真表示もしたいし、校正用のPDFも表示したい。今のデスクトップは狭すぎるのだ。リアルに実用性を考えると、カメラマンやデザイナー、イラストレーターといった職種の方にも最適だと思う。デジタル制作のマンガ家の人などにとってもかなり実用性の高い環境が実現できるだろう。
もちろん、そのためにはディスプレーの価格ももっと身近になってほしいし、まだまだ理想的な4K2K環境を手に入れるには多大な投資が必要だ。しかし、その多くはそれほど時間をかけずに解決されるはず。それくらい4K2Kには可能性がある。東芝以外のテレビメーカーが本格的に参入するようになれば、もっとこの世界は盛り上がってくるだろう。そうなれば、4K2Kの高品位なコンテンツの登場も期待できるようになる。
こういった世界に興味があり、多少の投資ができる余裕がある人は、ぜひとも4K2Kを体験し、自分のPC環境に採り入れてほしい。そんなチャレンジャーが増えるほど、この世界は盛り上がっていくはずだ。
さて、最終回となる次回は、プロジェクターによる大画面に挑戦する。また、ビクターが発売した4K2Kビデオカメラやプロフェッショナル仕様の4K2K動画制作環境などについても紹介していく。4K2Kの楽しみはまだまだ広がっているのだ!
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