デザイン面でも、有機ELディスプレーを強調する施策が取られている。ディスプレー以外は目立たず、ほとんど「板」と思える。大胆なほどにシンプルなデザインだが、持ちやすさと仕上げの両面で好感を持った。背面には滑り止めのグリップを兼ねた装飾と、大きな「TOSHIBA」のロゴがある。この部分のカラーリングは、もう少し大胆なものでもいいのでは……と思うが、そう悪い仕上げではない。重量は約332gとかなり軽い。8mmを切る薄さでもあり、持った時の負担はとにかく小さい。「板」的デザインであるため、より薄さが強調されて感じられる部分もある。
AT570を使ってみて驚くのは、予想以上の音の良さだ。理由は2つある。ひとつは、ソフトウエア的に実現された音質改善機能「Audio Enhancer」(試作機ではAudio Enhancement)の効果。これがあるだけで、特に低音がしっかり聞こえるようになり、音質がぐっと良くなったように感じる。もうひとつは、ボディ下部に向けて、しっかりとした開口部が用意されていることだ。逆にいえば、スピーカーの開口部が自分の方に向くように使わない場合、音質の良さを完全に体験することはできない、ということにもなる。
AT570のスピーカーは主に動画用で、動画を見る時は本体を横に持つ、という想定で作られているのだろう。実際、それが快適な作りになっている。縦持ちは電子書籍を読むときなど、絵と音を中心に楽しまない時の使い方、という「割り切りのデザイン」にも見える。
発熱はほとんどなし
バッテリー動作時間もサイズの割に優秀
使用されているプロセッサーは、NVIDIAのTegra 3(1.30GHz)。1080p・AVCの動画も特に問題なく再生できるし、各部の処理などでももたつきは感じない。特に「いいな」と思ったのが、動作時にもボディーに発熱がほとんど感じられないことだ。AT570は金属のボディーを使っているが、ずっとひんやりとした印象で、不快感は感じなかった。最近は第3世代iPadを使うことが多いのだが、あちらは比較的発熱が大きいため、その差が妙に大きく感じられたのかもしれない。
バッテリーの搭載容量は公開されていないものの、カタログ上の動作時間は「約10時間」とかなり長めだ。今回はテストとして、バッテリー輝度を最大にした上で、1080pのYouTube動画を連続再生し、そのバックグラウンドではTwitterクライアント「Twicca」で3分に一度ツイートをチェックする、という動作を繰り返してみた。あえてBluetoothもオフにはしていない。
2時間でのバッテリー消費量は39%。計算上は、この負荷で5時間以上は動作することになる。このテストは負荷の高いものなので、輝度を落としたり、Bluetoothをオフにしたりすれば、バッテリー駆動時間は容易に伸びるだろう。10時間はベストケースということになるだろうが、ウェブ閲覧などなら7~8時間もっても不思議はない。重量とサイズから考えれば、かなり満足できる値といえるのではないだろうか。
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